暁 〜小説投稿サイト〜
俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
35.覗きこむほどに、深く
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スけど……」

 ルスケが地図とメモ取り出してテーブルに広げると、トローネが顔を顰めた。

「あの……このメモ、どんなに読んでも『ダイダロス通りのどっかにいるよ!』という極めてアバウトな意味にしか読み取れないんですが……」
「『新聞連合』はダイダロス通りには近寄らないからそっち方面の情報には弱い。あっちは情報屋の縄張りだからな。手を出すと要らぬ諍いの種になる。まぁ、知っていそうな奴の当てはあるから今はそのことを気にするな」
(この街、水面下でそんな勢力関係あったんですかっ!)

 また一つ、レフィーヤは生きていくうえで必要ない知識を手に入れてしまった。そもそも『情報屋』などという胡散臭い仕事を生業にしている人間が本当にいたことを意外に思ったくらいだ。
 それにしても――と、レフィーヤは思う。

(最初はアズさんへの恐怖を払拭しようと街へ足を運び、目の前で人が倒れたせいで事件に巻き込まれて……意地を張って捜査に参加したはいいけれど、全く役には立てない。私、本当に何でこの捜査に参加してるんだろう……)

 踏み込めば踏み込むほどに、自分の知っている事も出来る事もないのを思い知らされる。もしかしなくても、レフィーヤはこの場において足手まといになっている気がしてならない。自分でついてゆくと言い出した手前今更引くのは躊躇われるが、首を突っ込み過ぎるとかえってファミリアに心配をかけるかもしれない。

「――なら俺はそのウィリスさんを探しとくよ。そっちはアルガードの方を探ってみてくれ。メンバーは今のままでいいかな?」
「いや、レフィーヤをそっちの調査に回す」
「えっ……?」

 突然自分の名前を呼ばれたことで反射的に顔を上げたレフィーヤに、ブラスの真っ直ぐな目が突き刺さる。上の空で話を聞いていたことを責める視線のように感じた。

「嫌だとは言わんだろうな?俺の邪魔はするなと言った以上、駄々は通さないぞ」
「い、いえ………その、何で私はアズさんの方へ?ブラスさんの判断が確かなのは分かっていますけど、その……」

 私が邪魔なのか、と言い出して言葉を呑み込む。問えば答えは返ってくるだろうが、そう面と向かって告げられて自分は正面から向き合えるだろうか。不思議と、ブラスにそう言われるのかと考えると彼の顔とアイズの顔がダブる。よく似ているだけに、もしも彼女が厳しい顔をしたらこんな風なのではないかとさえ思える。
 しかし、ここで尻込みしていることが正しいのだろうか。それは単に自分の嫌なことから逃げているだけなのではないか。もしそうならばどうすればいいのか……思考の沼に嵌まっていくレフィーヤを見つめたブラスは、席を立ってレフィーヤに耳打ちした。

「社会勉強だ」
「は………?」

 かなり一方的かつ意味の分からない言葉に唖然と
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