35.覗きこむほどに、深く
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ってるんだがなー……」
ふたりは平気な顔をしているが、ギルド組は浮かない顔をしていた。レフィーヤ自身、複雑な感情を隠せない。
どちらが犯人であれ、犯行動機はほぼ確実に復讐だろう。その『舞牡丹』という冒険者が親友であったのならば、当然復讐するほどの憎しみを抱く理由がある。恋慕の情を抱いていたのならば、彼女を失った時の絶望は計り知れない。
「20年近く前の親友の為の復讐……どっちが犯人だかわかんないッスけど、身勝手で哀しいッスね、こいつは……」
「私は……犯人の人は本気でそのピオさんが好きだったんだと思います。でなければ20年以上も前に死んだ人の為に動いたりしませんよ……」
「アビリティの確認は?」
「取れないよ。それ以上ツッコむと疑われるし、元よりアビリティ開示なんてご法度なんだから」
確かにこのタイミングでウルカグアリ・ファミリアからの信用を失ったらまずい。アズもその辺りの危険は察していたらしい。
それにしても、20年越しの復讐を果たす人間の気分というのは、どうなのだろう。人間は20年もずっと人を恨み続けることが出来るのだろうか。それとも、何かのきっかけで恨みを思い出してしまったのか。そこには本人にしか計り知れない妄執染みた感情――狂気がある。
「で、お前は主神に直接聞きに行ったんだろう。アルガードにおかしな動きはあったのか?」
ファミリアならば、普通は自分のファミリアの様子や近況くらいは把握している。殺人アイテムを作っていた可能性が最も濃厚な彼のことを知るのに一番手っ取り早い方法だ。しかし、問われたアズはどこか浮かない表情を浮かべた。
「結論から言うと確かに一か月ほど連絡を寄越してないが、ファミリアからしたらいつものことらしい。デカい仕事をするときは作業以外の世話をしてくれる使用人を適当に雇って工房に籠るんだと」
「何所からの受注だ?」
「いやそれが……受注が無いときは趣味に走る性質らしくてな。時々私財を注ぎ込んで1,2か月ほど自分の作りたい物を作るんだそうだ。だから受注データはないし、連絡も寄越さない。前に会った時も変わった様子はなかったとよ。神がそう言うんだ、その時は本当にそうだったと考えるのが普通だろ?」
「むしろ今回の話を聞いて急にアルガードさんが心配になったご様子でした。工房を通りかかるファミリア達からは作業音が聞こえてきたから死んではいない、といった具合でして……」
ブラスは二人の言葉を吟味するように傾聴し、ルスケはため息をつく。
「片や実行可能性があって疑わしく、片や行方知れずで疑わしい……ッスか。『新聞連合』の調べではウィリスは『街』の外に出た可能性が高いってことでしたけど、まだハッキリしたことは分かってないッス。取りあえず過去の住所は特定したん
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