35.覗きこむほどに、深く
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from Arle Familiar』《アルル・ファミリアのヴェルトール作》と刻まれている。その頭部からは紐がぶら下がっており、紐の最下部には『BELL』と彫られた木札が結びつけてある。どうやら鎧の頭部内がそのまま鐘になっているらしい。
躊躇いがちにその木札を摘まんだパラベラムは、嫌そうな顔をしながらも力いっぱいそれを引いた。
がらんがらん、と喧しい音が響き渡る。
「アルガードさ〜ん!アルガードさんいますか〜!?『新聞連合』の者ですけど〜!!」
= =
じりじりと日が傾いてゆく中、『新聞連合』での情報収集を終えたブラス一行とアズ・トローネコンビは一旦合流して情報を交換していた。目的地に歩く途中にブラスは「広域無線通信はないのか」と意味の分からないことを漏らしていたが、レフィーヤにはブラスの言わんとすることが分からなかった。
二手に分かれた捜査はほぼ同じ容疑者の名前を特定していたが、そこに至る経緯と最も疑わしいと結論付けた相手は微妙に異なった。
「魔道具に小細工の出来る職人の中でやった可能性のある奴を延々と調べ上げた。俺達の調べでは、アルガード・ブロッケが最も疑わしいことになった」
「あ、そっちもアルガードさんに辿り着いたんだ……あ、続きいいよ」
「アルガード・ブロッケ――仔細は省くが、こいつはここ一か月程度この街の住民が誰も姿を見ていない。仕事はしてるが、全ては手紙による受注。徹底的なまでに外との繋がりを断っている。また、現場に残っていた鎖を調べた所、アルガードと同じ加工癖が見られた。工房に不審人物が出入りしてるって話もある。現状最も疑わしいのはこいつだ」
その他、『新聞連合』が急遽かき集めた資料の中には二人がギルドで発見した被害者への繋がりなど様々な情報があった。これには自信満々で報告しようとしていたトローネも出鼻をくじかれたようで、報告されればされるほど落ち込んでは黄金仮面に戻ったアズに励まされていた。
(トローネさん、最初はアズさんのこと怖がってたのに……)
何となく仲間に裏切られた気分にさせられる。実際には殆ど喋っていないのだが、なんとなく近い部分があるものと思っていた。しかし、未だにレフィーヤはアズに慣れきれずにいた。どうして恐怖を克服することが出来たのか問い質せば、自分がアズに慣れるための手がかりがあるかもしれない。
尤も、今はそれを気にしている場合ではない。なにせ、たった今7人もの死者を出した凶悪犯の容疑者が決定されようとしているのだから。
「――以上のことから俺達は第一容疑者にアルガード、そして第二容疑者にウィリスを挙げた」
「なるほどね……容疑者に名前が挙がった二人に関してはこっちも一緒かな。俺達としては行方知れずのウィリスの方を疑
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