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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
34.彼岸をこえた小さな背中
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のものじゃないの?」
「何故そのように?」
「全部のアクセサリが君に合わせたサイズになってるし、凄く映えてる。作り手が君を近くでよく見てきた証拠に思えるんだよねー」
「ふふっ………聞きしに勝る慧眼ですね、『告死天使(アズライール)』。貴方には神になる資質があるように思えます」
「そういう貴方は冗句がお上手のようだ。しかし残念……観察眼は俺の友達仕込みでね」
「ならば、そのご友人にも資格があるやもしれませんね?」

 向かい合いながら微笑を浮かべる二人は、とても初対面の人と神のそれとは思えない。どうしてこの男は神を相手にこうも自然体でいられるのか、トローネには全く分からない。こちとら溢れ出る神の気品に中てられて体がガチガチだというのに。

「あ、そうそう。ウルカグアリって長いから『ウルちゃん』って呼んでいい?」
「あら、それなら私は『アズちゃん』とでもお呼びしたほうがよろしいかしら?」
「ふむ。その流れだとこっちの子は『トロちゃん』になるね。それでいい?」
「そんな人間になるのを夢見る白猫みたいな仇名付けないでくださいよっ!?私は犬人ですからっ!確かに心無い先輩にはトロちゃん呼ばわりされますけどっ!!」

 この世界で受け取ってはいけないでんぱっぱを受け取ってしまい半狂乱になるトローネをなだめる事数分、結局『トロちゃん』は却下されることとなった。

「ウル様、優しいのですね……貴方様の下で働く眷属の皆さまが羨ましいですぅ……」
「甘えん坊なのね、トローネちゃんは。時々でも甘えたくなったらうちにおいで?次からは美味しいスコーンも用意してあげるから、ね?」
「ああ、ウル様からお母さんのにおいがしゅりゅぅ……」

 ぐう聖だ、この神。トローネに膝枕をしながら優しく頭を撫でて微笑む姿が、もう女神としか形容できない。残念女神が溢れるこの世界でこれほど純粋な女神がいることに感動さえ覚える。

 しかし、そんな感動の光景をいつまでも続ける訳にはいかないわけで。



「――改めまして!ギルド所属特別捜査班、トローネ・ビスタです!」
「無所属冒険者、アズライール・チェンバレット。今はギルド捜査班外部協力者としてトローネちゃんと一緒に事件捜査してるよ」
「『ウルカグアリ・ファミリア』主神、ウルカグアリよ。折角仇名を貰ったのだし、ウルと呼んでね?」

 仇名が意外と嬉しかったのか、くすっと微笑みながらウルはそう告げた。
 この人が良さそうな女神に殺人事件という残酷な出来事を知らせるのは気が引けたが、更なる犠牲者を出さない為には彼女の協力が必要になるだろう。事件のあらましとここへ来た理由を――あくまで次の犠牲者となる可能性があるという部分を強調し――アズに告げられたウルは、静かに瞠目しながら話に最後まで傾聴し、全てを終え
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