33.改造屋
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せんのでヒマつぶしがてら読んでみてください!色々と新鮮な情報が乗ってますよ!」
「は、はぁ………チラシの束にしか見えませんが、新聞ってそもそもなんですか?」
「簡単に言えば最近の出来事、皆が注目している情報、噂話や面白い事件などの情報を纏めて知れちゃう雑記の寄せ集めですかね。ギルドとも提携してるんで、ギルド発表の最新情報も一通り乗ってますよ!」
店員の男は少々胡乱気な顔をしている。見知らぬ男が差し出した聞いたこともない紙媒体の存在意義を、押し付けられたゴミ程度にしか思っていないのだろう。
だが、パラベラムはこれ以上の説明はしない。前は内容を理解してもらうために言葉を尽くしていたのだが、説明だけではどうしても空回りしてしまうことが判明した。よって、自分で読んで内容を検めてもらうのが良くも悪くも手っ取り早いというスタンスに変えたのだ。新聞の価値は、自分ではなく読み手が決めるのだから。
「気に入ったら近所の売店、書店でお買い求めくださーい!」
それだけ言い残して、パラベラムは目的地の路地裏へと入っていく。
今のパラベラムの仕事――それはアルガード・ブロッケという男への集金である。
新聞は基本的に許可を貰ったオラリオ内のギルド認可店で販売されているが、新聞は最新情報を貴ぶためにおよそ3日に1回のペースで発行されている。しかし、新聞の定期購読者の中にはそれを買う為に何度も店に足を運ぶのが面倒だと言う意見が取り寄せられていた。そこで、『新聞組合』は購読契約システムを構築した。
購読契約システムとは、先に新聞代金を払う代わりに発行された新聞を契約者の下まで配達するシステムだ。金さえ払えば全て確実に、しかも在宅のまま新聞を受け取れる。お金さえ気にしなければ便利なシステムだ。
そして、アルガードもまたそうやって先月に月割購入契約を結んだ一人だった。
アルガード・ブロッケ。種族はパルゥム、性別は男性、年齢は43歳。幾つかの鍛冶ファミリアとアイテム作成のファミリアを転々とした後にウルガグアリ・ファミリアに根を降ろし、現在は装備――主に鎧のカスタムを専門に受注する個人職人として活動しているらしい。……と、ここまでが先輩から仕事を押し付けられたパラベラムが把握している情報になる。
「さて、普通のお客様なら素直にお金を払ってくれる訳だけど……残念ながらアルガード様は普通じゃないかもしれない。厄介なことにならなきゃいいんだけどな……」
小さく嘆息したアルガードはハンチング帽の鍔を指で摘まみ、深くかぶり直した。
厄介かもしれないとパラベラムが判断する理由――それは、これがアルガードに行なう最初の集金であることが関係している。
何事も初めてというのはトラブルが付き纏う。『新聞組合』
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