33.改造屋
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現在、ブラスたち4人は事件に使われた殺人魔道具の拠出を探るために、『新聞連合』がかき集めた街中の魔道具に関する情報を精査していた。
「ヘルメス・ファミリアの魔道具無許可販売………これは関係がないな。あそこは引き際くらいは弁えてる。あからさまな殺しの道具は作らんだろう」
「無許可販売自体はしてるんですか!?」
「するさ。財政にそれほど余裕がないからな。許可販売は税金を取られるから、裏でバレないように流すのがあそこのやり方だ」
「ま、裏の方ではみんな黙認してることだし?証拠そのものは残ってないから突かれても言い逃れできるってわけ。レフィーヤちゃんみたいな表の冒険者からしたらショックかもしれないけど、軽い罪ってのはある程度黙認されてるものなのよ」
「………否定はできねぇッスね。ギルドには実働部隊が無いッスから網の目は大きいんスよ」
ルスケの複雑な表情を気にも留めずにブラスとペイシェは黙々と作業を続けている。どうやらこの場で心が真っ白いのは自分だけらしいことを、作業をしながらレフィーヤは悟った。
表には出てこないオラリオの隠された部分――単なる噂から裏の取れた事実まで、『新聞連合』の情報収集能力は驚異的の一言に尽きた。
「………魔道具の不正転売。アビリティを偽った詐欺。ラキアへの横流し。魔道具を使用したと思われる窃盗、誘拐、殺人。粗悪品を渡された冒険者がダンジョンで死亡認定……偽物の『魔導書』による魔力不全事件………これが全部、オラリオの中で……?」
これでも、レフィーヤはダンジョン内外での殺人事件や汚い話を目撃したことはあった。ファミリアとして事件に関わったこともある。だからそのことで驚くことはないと思っていた。だが、目の前にある情報は想像以上に生々しくて、どれもこれも外道で、犯人は未だに街中を堂々と闊歩していて――あまりにも量が多すぎた。
どこか、自分の生きる場所を美化していた。そんな甘い自分が悔しくて、レフィーヤはきゅっと唇を噛んだ。
「ロキやリヴェリアにどれだけ過保護にされてきたのか、理解したか?」
不意に、ブラスが書類から目を離してレフィーヤの方を向いた。
確かにそうだ。自分の第二第三の親とも言える主神とファミリアの先輩たちは、きっとずっとこんな後ろ暗い部分からレフィーヤ達を守ってきたのだろう。事実を噛み締めたレフィーヤは静かに頷く。
「私にはまだ早い……って、思われてたんでしょうか」
「どうかな。表のオラリオで生きていく分には別段知らなくともいいことだ。なにせ、事件は裏で起きている訳だからな。進んで薄汚い裏に入る必要はない。あそこは、落ちるしかない奴が自然と引きずり込まれる世界だ」
表の小奇麗な世界と裏の薄汚い世界には、明確な線引きがある。いつだったか、フィンはレフィー
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