32.流動情報
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…すっごく目立つと思います」
「あ、それと被害者の中には屋内で倒れた人もいるから、どっちにしろその線はないッス」
「そう言う事だ。まぁ、『そういう魔法』という可能性もあるが……使った瞬間に被害者から加害者までの閃光がラインで繋がる訳だから、目撃証言と合致しない。被害者を襲った閃光は近距離でのみ確認されている。なら、別の魔法は?」
「別の、魔法……ですか」
「そう……時限式魔法、とかな」
時限式魔法………つまり、セットから一定時間が経過したら自動的に発動するという意味だ。
………が。
「まぁ、ないだろうな。そんな使いにくいにも程がある魔法が都合よく存在するとは思えんだろう?」
「「はい、全く」」
当然と言うかなんというか、こちとら今すぐに目の前の魔物を倒したい時に魔法を求めるのだ。なのに何故インターバルを作る必要があるのか。戦いに於いて魔法にそんな無駄な時間差を作る意味が分からない。
実はブラスは他にも「空間転移魔法」なる恐ろしい方法まで想像していたのだが、これまた可能性が限りなく低い上に概念を説明するのが面倒だったので喋るのを止めた。
「話が逸れたが……つまり魔法による犯行は『限りなく不可能に近い可能』。よって今回は一旦除外する。ここで浮かび上がるのが魔法具という方法だ。それも、トラップ式のな」
「確かに……魔法具なら作り手の技量次第で様々な小細工を挟む余地がありますね」
魔法具は、『神秘』という発展アビリティを習得した冒険者が作成した特殊なアイテムだ。その道具には常識では考えられない、魔法に近いレベルの特殊効果が付与されている。もしも作り手が「道具の持ち主に電撃を喰らわせる」という特殊効果を付与しようとすれば不可能ではないし、こちらなら時限式もありうる。
「魔道具の作り手なら容疑者はかなり絞れる……!ブラスさん、この短期間でそこまで考えてたなんて……御見それしました」
「小説の名探偵さながらの洞察力ッス!ロイマン大先輩が解決を依頼したのはその頭脳を買ってのことだったんッスね!」
「あのデブがどんなつもりかなど知るか。俺は事件の真相に興味が湧いたからやってるだけだ。ちなみにこの事はアズにも伝えてある。今頃人間関係を伝ってそれらしい奴を炙り出している筈だ」
興味なさ気に廊下に目をやったブラスは、小さく「来たか」と呟いた。
直後、会議室のドアが開いて煩雑なまでにかき集められた紙束を抱えた女性が入ってくる。
「ハァイ、お待たせ!魔法と魔法具関連のメモ、持ってきたわよ!」
寝癖か癖毛か頭のあちこちから妖怪アンテナが剃り建つモノクルの女性が笑顔で入り込み、紙束をドサリと会議室のテーブルに布く。陽気に鼻歌を歌う彼女は会議室の三人を見渡して興味深げにうんうんと頷いた。
「オー
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