32.流動情報
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らないブラスにフラストレーションを溜めていた。
人の話を聞いている筈なのに行動そのものは自分本位で、更に冷たい言葉や疑わしい言動を時折見せるブラス――いや、オーネスト。彼は自分の中で行動を決定したら、誰が何を言おうと実行するタイプの人間だ。故に自分の思考を他人に喋ることを無駄だと考えているきらいがある気がした。
責めるようなレフィーヤに対し、ブラスの声はどこまでも平坦だった。
「繋がる、繋がらないで言えば……俺とお前たちの認識は『繋がっていない』な。それを説明するために落ち着いて喋れる場所が欲しかったのもある」
「それは、さっきヨハンさんたちに不審者の情報をわざと伏せたこととも関係があるんですか?」
「ある」
「一緒に行動している以上、説明はしてもらえますよね?」
「今からしよう」
ざっくばらんな回答でレフィーヤの言葉を切り裂いたオーネストが、状況の変化に戸惑うルスケにメモを取るよう目線で促した。
「まず、『方法』だな。これは探るも探らないも二者択一だ。魔法か魔道具……これ以外で人間にあんなダメージを与える方法は存在しない。あれは完全に電気を利用した殺害方法だ。ルスケ、レフィーヤ………お前ら、人間が魔法も魔道具も使わずに人を殺すほどの電気を起こす方法を知ってるか?」
「出来たらそいつ人間じゃねぇッスよ……」
「魔物の一部には電撃を発生させる存在もいますけど………そんな訳ありませんよねぇ」
「そうだ。そんな事を実行しようとしたら街中で魔物を引き連れてけしかけるという馬鹿みたいな方法を取らなければならん。隠匿性も実行性もゼロに等しい以上、方法は限られる」
街中で周囲に気付かれずに特定人物を電気で殺害する――一般的に電気といえば雷のことである以上、雷を発生させる方法は確かに二つしかない。魔法か魔法具だ。
「では魔法から考える。まず単純に思いつくのが超遠距離雷撃魔法だが……俺はこれを実現性のない物と考える」
「でしょうね……まず、距離が離れすぎると魔法は威力が減退します。人間を即死させるにはある程度近距離で使用する必要があります。また、超遠距離で魔法を命中させるならそれだけの技量が必要ですが、そんな使い方はダンジョン内ではする意味が皆無なので出来る人はまずいないと思います」
ダンジョンは広いようで、戦闘空間そのものは広くない場合が多い。求められるのは精密なコントロールより範囲と威力だ。遠距離から人間サイズの敵を狙い撃つ技量があったとして、それがいつ、どこで求められるのかという話だ。無駄に集中力を浪費するよりぶっ放して命中させたほうが効率がいい。
「それと……常識的に考えて魔法使用者はターゲットを目視できる場所にいなければ命中させることは出来ません。なので、近くにそれをやろうとしている人がいたら…
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