32.流動情報
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目に入らなくなってくる。その頃から、レフィーヤは自分で自分のことを嫌になりながらも、ブラスの不審な行動の事ばかり考えていた。
(嘘が嫌いなあの人が、目撃証言で嘘をついた理由……この人とは何度か轡を並べて戦ったこともあるけど、もしかして………)
ブラスの背中は何も語らない。微かな猜疑心と自己嫌悪を消せないまま、レフィーヤは彼の背中を追い続ける。アズたちに指示を飛ばした後、ブラスはルスケとレフィーヤを無視するかのように人通りの少ない路地を抜け、ひとつの大きな建物の入り口にまでたどり着いていた。建物の看板にはメモ帳にペンを挟んだ模様のエムブレムが掲げられているが、レフィーヤにはそれがどこかで見たことがあるもののような気がした。
「ここに、例の事件の殺害方法を知る手がかりがあるんッスか?」
「いや、ないだろうな」
「ないんスか!?」
さらりと行動の根底を否定されて愕然とするルスケを無視し、ブラスは懐から一枚のカードを取り出して建物の警備員らしい人物に手渡す。内容を改めた職員は顔を上げて確認を取った。
「これはオーネスト様のメンバーカードですね。あの方が他人にカードを預けるということは、それなりのお考えがあっての事でしょう。………ご用件をお伺いいたします」
「部屋をひとつ借りたい。それと、ここ一か月の魔道具関連の噂や加工職人の動向の情報をまとめて寄越すように所長に伝えてくれ」
「かしこまりました。2階の第三会議室が空いていますのでご自由にお使いください」
「……お前ら、ついて来い」
手招きをしたブラスはつかつかと建物に入っていく。置いて行かれてはたまらないと思った二人は慌ててその背中を追いかけた。
「あの……この建物はなんですか?何だかメンバーカードがどうとか言ってましたけど」
「『新聞組合』……と言って分かるか?」
「あー、知ってるッス。このオラリオにある事実、嘘、噂話を纏めてゴッタ煮にしたような文章の羅列をしょっちゅう発行してるアホ集団でしょ?内容は眉唾物ばっかッスけど、仕事づくめのギルド内では暇つぶしに結構人気なんッスよ。ほら、これ」
ルスケが取り出したのは安物の紙につらつらと写真や文章が乗せられた紙束だった。見た印象では精一杯ひらべったく伸ばした薄本と言った感じだ。ページ1枚が通常書籍10ページ分くらいある代わりにぺージ数自体は10にも満たない。
このなかで知らないのはレフィーヤだけのようだが、そのレフィーヤもその紙束に何となく見覚えがあった。
「これ、ガレスさん辺りが似たような紙を持ってたような……あ、エムブレムが建物のものと一緒だ」
「こんなものを発行している出版社は『新聞組合』しかない。まず間違いないだろう」
そう、確かリヴェリアが「またそん
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