機動戦艦ナデシコ
1261話
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「待って!」
パァンッ!
その声が聞こえてくるのと、トリガーが引かれるのは殆ど同時だった。
いや、ギリギリ声の方が早かったか。
その声のしてきた方へと視線を向けると、そこにはネルガルのスーツを着たエリナの姿があった。
余程急いで走ってきたのだろう。息を切らせて必死な表情を浮かべていた。
「……殺した、の?」
恐る恐ると掛けてくる声に、視線をムネタケの方へと向ける。
顔のすぐ横に銃弾が着弾した影響で、完全に意識を失っているムネタケへと。
「いや、もう一瞬エリナが声を掛けるのが遅ければ、後頭部に銃弾を撃ち込んで頭が破裂してたんだろうけどな」
俺の背後から来た為、ムネタケがどんな状況になっているのかは全く分からなかったのだろう。生きていると聞き、安堵の息を吐く。
もっとも、現状でムネタケを殺していれば色々と揉め事が大きくなるのは分かりきっていただけに、正確には俺が狙ったのはムネタケの後頭部ではなくて耳。
右耳辺りを吹き飛ばそうと思っていた。
……それはそれで、後日揉め事が起きていた可能性が高いが。
「良かったわ。連合軍との間に問題が起きたら、洒落にならないもの」
「ま、それはそうだろうな」
何だかんだで、連合軍というのはこの世界における最大の軍事組織なのは間違いない。
確かにネルガルというのはこの世界でも有数の企業なのは間違いないのだろう。
だが、それでも連合軍と正面から戦うというのは荷が重すぎた。
シャドウミラーが手を貸せば話は別かもしれないが、そうなればそうなったでまた別の問題も出てくるだろうし。
「それで、こいつらはどうするんだ? 何だか俺を捕らえようとしていたみたいだし、ブリッジの方も占拠されているみたいだが」
「ああ、ブリッジの方はもう解決したわ。クルーの中でも何て言ったかしら? ほら、アクセルと一緒に囮をやった人」
「テンカワか?」
「そうそう、そのテンカワって人が他の人達を率いてブリッジを強襲して制圧し返したみたい」
「……テンカワが?」
改めて尋ねると、エリナは頷く。
テンカワが、か。俺がテンカワと話したのはそんなに長くない。
いや、短いと言ってもいいだろう。
けどその短い時間話しただけでも、テンカワが率先して行動を起こすようには思えなかった。
何と言うか、受動的というか、物事に流されてようやく動くみたいな……うん、多分この世界の主人公はテンカワで間違いないんだろうなと思ってしまう。
で、ヒロインは艦長、と。
この辺は話の流れから考えて、まず間違いないだろう。
俺の前で安堵していつものキツイ表情を微かにではあるが緩めているエリナは、多分ヒロインじゃないんだろう。
いや、テンカワが10代後半で、エリ
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