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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
31.心の温度差
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引きするルスケとは対照的に冷めているヨハンは素早くメモを取る。トローネは病院に運び込まれた被害者や目撃証言に関する報告書を精査しているようだった。

「周辺の目撃証言と今回の証言……そして例の連続不審死事件で挙った証言、全て一致しています。周辺に犯人らしき不審者はなし。被害者が倒れる直前に雷のような音と光があったというのも共通です」
「被害者の様子は?」
「意識ははっきりしていますが、本人にも今のところ倒れた原因について心当たりはないそうです。ただ、ブラスさんの証言通り被害者には落雷などの強い電流を受けたような症状が現れているそうです。また、今回の証言を基に不審死した死亡者の遺体写真を確認した所、胸や首筋にごく小さな火傷のような穴が開いていたとのことです。以上の事実から――こちらの書類をギルド長が」

 トローネが書類の中から一つだけ紙質の違うものをヨハンに渡す。その内容を改めたヨハンは、眉間にしわを寄せて内容を読み上げる。

「此度の連続不審死を何者かの手によって恣意的に発生させられたものと断定し、事件として認定するものとする………ギルド長の捺印もある正式な書類だ」
「と、言う事は………もしかして」
「ほ、ほ、ほ、本当に殺人事件の調査を手伝うんですかぁっ!?」

 ルスケは予定外の業務内容に頭を抱え、トローネは震えあがる。
 新人局員には余りにも荷が勝ちすぎる事態を、もしや自分たちが任されるのだろうか。いやいやこんな異常事態なら別のメンバーが寄越されるはず。いくら祭りや組織会議が近くて忙しいからと言って末端人員にそんな大事を任せはしない筈……戦々恐々する二人に、ヨハンはにっこり微笑んだ。

「安心しろ、お前ら……大丈夫だ」
「で、ですよねー!私みたいなデスクワークばかりの期待の大型新人を現場に向かわせるなんてそんな……ねっ!」
「だから何で自分を過大評価して………まぁいいッス。それよりも先輩、安心していいってことは帰っていいっつーことッスよね?今日の業務はすべて終了ってことでいいッスよね!?」
「はーははははは………そんな訳なかろう?むしろいい機会じゃないか。新人は現場研修こなしてナンボだ!!」
「なん……」
「ですと……」

 二人の新人の顔色が、さあっと青く変わっていく。

「ロイマン局長から直々にアズライール・チェンバレット氏及びブラス氏の二名に事件解決の協力依頼も出ている。お前らはその二人の金魚のフンになってこい!事件捜査も護衛もその二人がやってくれるから!」
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?!?」


 ギルド局員の余りに間抜けで情けない悲鳴とともに――事件は幕を開けた。


 その、傍らで。

(ブラスさん、どういうつもりなんだろう。不審者はいなかったっ
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