31.心の温度差
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は呆れた。
「調査ったって一人でやる訳じゃないし、大抵は協力者におあつらえ向きの冒険者を雇用するんだからそんなに怯えなくとも……」
「しゃーないと言えばしゃーないッスけど。トローネちゃんは臆病ッスからねぇ。正体不明の殺人鬼なんて絶対に関わりたくないでしょーよ。本人がドン臭いのも事実だし」
「ドン臭いというよりはトロいんだよなぁ、この子は。言葉の意味を理解するのにやたら時間がかかる上にちょっとズレてるし」
「殺されりゅううう………犯人に逆上されて殺されりゅううう……!いやそれ以前にギルドの将来の危険因子として目ざとく狙われて路地裏でコッソリ始末されりゅうう!」
「自分の妄想に怯え過ぎだろ。呂律がヘンだ」
「何でさっきからチョイチョイ自分の価値を過大評価してるんッスかねぇ」
もはや何もツッコむまいと二人は休憩室常備の茶菓子を齧りながらトローネを放っておくことにした。3人は確かにギルド職員だが、ギルドだって結構な人員がいる。ピンポイントで自分たちに担当が回ってくることは相当確率が低いし、きっと関係ないだろう。
「――ヨハンさん!ヨハンさん、いますか!?」
不意に、休憩室の外から若い女性の呼び声と慌ただしい足音が響いた。続いて休憩室の扉が乱暴に開け放たれ、眼鏡をかけたハーフエルフの女性が顔を出す。人気受付嬢のエイナ・チュールだった。
「何事だい、エイナちゃん?俺達は休憩時間だよ?」
「分かってますけど、緊急事態なんです!急いで外に出る支度を……あ、丁度いいからルスケくんとトローネも一緒に行って!」
「…………そこはかとなーく嫌な予感がするッスね。対策会議と祭りの準備で人手が足りない……という話じゃなさそうだ」
「殺されりゅううう……う?あれ、エイナさんじゃないですか!エイナさんも休憩ですかぁ?」
一人だけ状況把握能力が可哀想なトローネに「ああ、この子はもう……」と頭を抱えながら、エイナは口早に状況の説明をした。
「西通りでまた人が倒れました!今度は被害者がまだ生きているそうです!急いで事実確認に向かってください!!」
……数分後、トローネが『告死天使』に遭遇して恐怖の余り気絶したことを追記しておく。
= =
事件現場に居合わせたレフィーヤは、被害者男性の手当てをするブラスを心配そうな目で見ていた。
ブラスは神妙な顔をして被害者男性に少量ずつ水で薄めたポーションを飲ませ続けている。被害者男性も目を覚ました当初は問題なさそうに見えたが、時折顔色が悪くなったり体が痙攣したりと容体は安定していなかった。
「あの……怪我はしていないように見えますけど、本当にポーションで大丈夫なんですか?」
「ああ。恐らくだが容体が安定しないのは電撃傷で体内の血管や神経が引き裂か
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