第四部五将家の戦争
第六十話 宴の始末は模糊として
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聴いたのみです」
「馬堂の者でもそういうことがある、か」
保胤は口元に笑みを浮かべた。考えてみれば当たり前である。それどころではないのは当然であった。
「・今後、貴下の率いる現有兵力、および六芒郭の残置部隊を“新城支隊”と称する事。
・貴下を支隊長、および六芒郭臨時防備部隊司令に任ず。
・新城支隊は六芒郭要塞の防衛並びに友軍の転進援護を任務とする。
君はこれをどう考える?」
保胤は公式に発令されたものをそのまま豊久に投げかけた。
「新城支隊がどの程度動けるのかですね。母体になるのだって連隊規模の旅団と五〇一大隊。あとは統制の崩れた龍州軍、第二軍の残骸がほとんど。
近衛衆兵だけであれほどの戦果を挙げたとはいえ、現在、どれほどの統制力をもてるか怪しいものです。大隊本部の規模では再編しても統制するには困難を伴うでしょう
六芒郭の残置部隊の将校を吸収しても難しい状況なのではないでしょうか」
「成程、人手が足りないか」
「あとはいつまで守るか、どのような終わりを想定されているかが判然としてない点ですね。それと物資の備蓄状況や補修がどの程度できるのかについても私は把握していませんのでどうにも」
豊久が敢えて政治的な解釈を外した事は保胤にもわかっている。主家にあれこれと意見する気はないという事だ。
「その点については後で伝令を出すつもりだ。導術では伝えられないからな。
あぁ兵部省からも物資の調達は急がせている。護州からも一部資材の融通を受けている――兵部省の新規調達分から充填する形になるが」
「物資については心配しなくてよいのですね」
「明日、皇龍道から物資が送られる、龍州と蔵原に残った第二軍から抽出した工兵隊も同時に出る。皇龍道に回す予定だったようだがやむを得ん」
「龍州軍はどこに配置されるのですか?」
「内王道、皇龍道の間にある小街道だな、あぁ街道と言っていいのか怪しい物もあるようだが」
「龍州軍の戦力はどの程度残っているのですか?」
「龍州軍の現有戦力は、銃兵二個旅団弱に砲兵、騎兵がそれぞれ一個大隊程度だ」
「‥‥‥龍口湾と泉川でどれほどに」
「新城支隊に組み込まれている者も少なからずいるさ‥‥‥戦力の回復については駒州の後備の一部も龍州に組み込む予定だ」
「軍令が下された以上、私にできるのは少しでも耐えられるようにすることだけだ。
五日後、八月四日には西州と駒州から供出した資材等の段列が六芒郭に向かう
‥‥‥時期が時期だ。兵達には悪いがここで補充と再編を終えたら六芒郭への護衛を命ずる。先ほど言った防衛の期間や収拾のつけ方についての伝令も兼ねてもらう」
保胤の言うことは豊久にも理解できた。〈帝国〉軍の行動が鈍化しているといっても何時活性化するかわから
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