第15話 VS血斧王
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切るために距離を一旦離した百代は、今度は自身が突進した。
百代から見て、このコスプレイヤーの実力は間違いなくマスタークラス。
とは言え、その中で上位なのか下位なのか判らないのが現状だ。
そして百代は尻上がりだ。戦闘をより長く楽しむ為、戦闘欲を満たす為、彼女は無意識的に最初は自身に制限を掛けて戦っていくため、最初の一撃は洗礼とも言うべき小手調べだ。
「ウォオオオオオオオ!」
「フッ」
バーサーカーの斧の乱舞を掻い潜り懐に入ると、小手調べとは言え、今迄多くの挑戦者達を返り討ちにしてきた一撃を叩き込む。
「――――川神流無双正拳突き!」
百代の拳は真っすぐにバーサーカーの鳩尾に突き刺さる――――筈だった。
「・・・・・・な!?」
いや、確かに突き刺さっているが、突き刺さっていると言うよりは食い込んでいる。
しかし腕を突き刺している本人は、自分の腕の周りから何の感触も感じないのだ。
残像にしても人の虚像や揺らぎなどから闘気を感じるのだが、それすらない。
(こんなのまるで・・・――――って」
そこで百代は、自分の頭上で金属と金属がぶつかり合う音に促されたようで、気付いた。
目の前の男が、禍々しい斧で自分に振り下ろそうとしてくる事に。
躱そうとも思ったがそれはもう手遅れ。そして、斧は百代の右肩目掛けて振り下ろされた。
「川神!!」
それを止めようと思い、止めきれなかった士郎の叫びが空しく虚空に響き渡った。
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