第二十三話 入学テストその四
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「けれど。あれはねえ」
「そんなに凄いのね」
「傍若無人」
こんな言葉まで出て来ました。
「まさにそんな子よ」
「背は高いし顔は可愛い感じだけれどね」
「背が高いの」
私が小柄なせいで背が高いと聞くとついついそっちに反応してしまいます。せめてあと五センチは欲しいんですけれど伸びません。どうやったら伸びるんでしょう。
「高いわねえ。一七五超えてるわよね」
「一八〇近くあるわね」
「そんなにあるの」
正直羨ましいと思ったのは事実です。
「本当に背が高いのね、その娘」
「だから余計に目立つってこと」
「その態度のでかさがね」
「困った子ね」
今度はこう思いました。
「入学してきたら一年よね」
「間違っても三年生じゃないわよ」
当然ですけれど。入学していきなり三年生だったらそれこそ驚きです。
「一年生だけれど」
「何なのかしらね、あの態度の大きさ」
「しかも近鉄の歌なんか歌って」
天理駅は近鉄の駅もありますけれど私は今までおぢばで近鉄ファンの人に御会いしたことはあまりありません。実家でもです。大抵阪神ファンでした。関西にいますと黒と黄色ばかりです。黒と黄色のタイガースブラッドを持っていると豪語する方には御会いしたことがありますけれどバファローズレッドの血が流れていると言う方には御会いしたことがありません。あの三色帽子はよく見ましたけれど。
「あれであの黒い帽子被ってたら完璧ね」
「そうね、懐かしいって言ったら懐かしいけれど」
あの帽子も好きでした。オリックスのあのユニフォームは好きになれません。何よりもあの口だけ番長はどうにかならないのでしょうか。私はあの人が大嫌いです。
「それでもねえ」
「ねえ」
「何で近鉄なんだろ」
「入試で六甲おろしっていうのもかなりあれだけれど」
歌っていたら皆引くのは間違いないです。私だって引きます。
「とにかく変わった子よね」
「おぢばって本当に色々な人がいるけれどね」
これは私のいる奥華なんか特に凄くて。女の人はともかくとして男の人は本当に個性派が揃っています。もうこれでもかっていう位に。
「それ考えたら普通の範疇かしら」
「普通って何をさすのかわからないけれどね」
「少なくともあの子は普通じゃないけれど」
それにしても随分言われています。本人がここにいたら何て言うやら。
「けれどまた会うには向こうがね」
「そうそう、合格しないと」
これはその通りです。合格しないとどうしようもないです。私も受験する時は合格するかどうか物凄く不安で仕方がなかったですけれど。
「会ったらその時ね」
「ええ、そういうことね」
話はこれでとりあえず終わりました。それで次は。
「終わったらどうするの?」
「終わったらって?」
「だから。このテス
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