第二百四十五話 夜においてその十二
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「さすればです」
「次はか」
「一ノ谷か」
「ふとそう思いましたが」
「有り得るな」
義久は弟のその言葉に頷いてこう返した。
「それもな」
「兄上もそう思われますか」
「うむ、屋島一ノ谷じゃからな」
「屋島と一ノ谷は順序が逆ですが」
源平の戦においてはだ、平家は一ノ谷で敗れそして屋島でも敗れ進退極まり遂に壇ノ浦で滅んだのである。
「しかしです」
「全体の流れはな」
「そうなっていますな」
「うむ、ではな」
「はい、壇ノ浦においてです」
「最後の戦か」
義久も言った。
「あの者達と」
「そうなるともです」
「考えられるな」
「その時はです」
「海での戦か」
「壇ノ浦はそうでした」
まさに海の上でだ、源氏と平家は最後の戦を行ったのだ。
「そうなることもです」
「考えられるな」
「そうです」
「そうじゃな、ではな」
「その海の戦において」
「我等は勝つ」
こう言うのだった。
「必ずな」
「うむ、そうしましょうぞ」
元親も言った。
「必ずや」
「そうですな、必ず勝ちましょう」
「そして天下に泰平を」
こうした話をしていた、そしてだった。
彼等も飲んだ、その頃信長はというと。
酒を飲んではいなかった、盃には水がある。信長はその水を飲みつつこれまで共にいた家臣達に言っていた。
「明日、さらに戦があろうともな」
「それでもですな」
「明日で」
「明日の戦で、ですな」
「完全に決まる」
魔界衆とのそれがというのだ。
「趨勢がな」
「ですな。妖術を破り」
竹中が言って来た。
「そのうえで」
「奴等の切り札を破る」
「そして」
「一気に攻めてな」
「そういえば一ノ谷で」
彼等がいるその場所でだ、柴田が言った言葉だ。
「源平の戦も決まりましたな」
「おおよそな」
「平家は力がありました」
一ノ谷の戦まではだ。
「充分に」
「まだまだ巻き返せた」
「はい、勝てば都に近付けましたし」
「充分な力があった」
「まだ」
「しかしじゃ」
信長はさらに言った。
「ここでの戦で負けてな」
「そして、でしたな」
「流れが決まった」
完全にというのだ。
「それで平家は滅んだ」
「そうなったからですな」
ここでだ、佐久間も言った。
「我等の戦は」
「うむ、ここで勝てばな」
それで、とうのだ。
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