暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ三十一 上田城の戦いその九

[8]前話 [2]次話
「準備は整っているというしな」
「そしてですな」
「それに死ぬ時は共にと誓っておるな」
「はい、義兄弟として」
「それならばじゃ」
 是非にと言うのだった。
「御主達は共に行け」
「そう言われますか」
「わしも一緒じゃがな」
「兄上もそう言われるのなら」
 幸村は深く考える顔になってだった、そしてだった。
 そのうえでだ、十人にこう言った。
「わかった、ではな」
「はい、有り難うございます」
「それではです」
「共に参りましょう」
「徳川殿の本陣まで」
「うむ、やはり我等は常に共にいることになるな」
 今は微笑んでだ、幸村は言った。
「そうした運命の様じゃな」
「そうですな、やはり」
「我等は共に生きる運命にあります」
「常に共にあり」
「そして戦いの場に赴く」
「それが我等ですな」
「その様じゃな、では行こうぞ」
 こうしてだった、幸村は十人の家臣達を連れて兄と共に徳川家の本陣に向かった。その徳川の陣を見るとだ。
 黄色の旗が立ち黄色の具足の兵達がいた。その彼等を見てだ。
 十人は確かな笑みを浮かべてだ、こう言った。
「見事ですな」
「徳川家の黄色は何時見てもいいですな」
「何処でも映えまする」
「よい色です」
「そうじゃな、黄色は土の色じゃが」
 幸村は五行思想から話した。
「その土がじゃ」
「我等の前に来ておりますな」
「赤の我等に」
「その前に」
「火は土に負ける」
 ここでも五行思想から言う幸村だった。
「そうなっておる、しかしな」
「それでもですな」
「それは覆せる」
「左様ですな」
「そうじゃ、しかも拙者も火の気を持つ様じゃが」
 幸村は自分のことからまた話した。
「御主達はそれぞれの気がある」
「それがし達もですか」
「それぞれですか」
「気がありますか」
「うむ、佐助と鎌之助は木じゃな」
 まずはこの二人のことからだ、幸村は話した。
「山での戦を得手としておるしな」
「確かに。それがし達は」
「言われるとそうですな」
「才蔵と海野六郎は水じゃ」 
 この二人はこちらだというのだ。
「才蔵は霧を使いこちらの六郎は水での戦が大の得意であるからな」
「言われてみれば」
「左様ですな」
 二人も納得する、そして。
 幸村はさらにだ。今度は穴山と筧に言った。
「小助と甚八は金か」
「鉄砲を使うから」
「雷も使うからですな」
「そうじゃ、御主達はな」
 まさにというのだ、そして次は。
「伊佐と望月六郎は火か」
「確かに。拙僧気だけでなく火の術も得意です」
「拳に火も使いますぞ」
「だからな、そして最後はな」
 幸村は残った清海と筧に言った。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ