前編
8.冗談はクレープだけにしろ
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らっしゃい。何にします?」
クレープ屋さんの気のいいアンちゃんにそう促され、メニューから一番シンプルそうなやつを選択する。こういう時はシンプルなものに限る。変にゴテゴテしたものじゃなくて、純粋にクレープの味が楽しめるからな。
「俺はカスタードと生クリームのやつを」
「球磨はカタストロフチョコバナナデンジャラスカスタードベリーダブルアイスヘーゼルナッツアイリッシュキャラメルサンデースペシャルをお願いするクマ」
「んなもんあるわけないだろ。なんだそのスタバの極限カスタマイズ以上に物騒なオーダーは」
「あるクマ」
そう言ってメニューの中の項目の一部分を球磨が指さした。んなクソたわけたメニューがあるわけ……
「ある……だと……?」
「フッフッフッ。そんなんだからハルは球磨のアホ毛も切れないんだクマ」
「うるせー妖怪アホ毛女!!」
こんな漫才を繰り広げながら、オーダーしたクレープが出来上がるのを待つ。比較的シンプルな注文内容の俺のクレープが先に出来上がり、店員のあんちゃんに笑顔で手渡された。その後、待つこと数分。
「おまたせしました〜。カタストロフチョコバナ(略)でーす」
「クマッ?!」
「でけぇえッ?!」
球磨が注文したクソたわけたクレープは、店員のあんちゃんの顔の3倍ぐらいでかいシロモノだった。縦幅も横幅もあんちゃんの顔がすっぽり収まるぐらいのデカさのクレープの中には、バナナやらチョコやらアイスやら何やらがてんこもりになっている。
「マジかよ……球磨、お前それ一人で食えるの?」
「よ、余裕だクマッ……」
笑顔でそう答え、その化け物クレープを受け取る球磨の額に、うっすら冷や汗が浮かんでいたのを俺は見逃さなかった。……よく見たらショートケーキがまるまる一個入ってるぜこれ……なんでぶどうが一房丸ごと入ってるんだよ……
「す、すみません。これカップル用なんですよ」
「ま、マジっすか……」
「きっと二人でたべるものとばかり……」
いやそれにしても限度っつーのがあるだろう……だいたい俺は俺で個別に注文してるんだから……
「いや、だからお兄さんがよっぽどの甘党なのかなと思いまして……」
「甘党でもさすがに余計にもう一個注文はしないでしょー……だいいち俺とこいつは別に付き合ってるわけじゃないし……」
「すみません……でもお二人、すごく仲がいいから」
「「冗談はクレープだけにしろ!!」するクマ!!」
笑えない冗談だ。あんちゃん、ギャグセンスをもう少し磨くべきだ。あと人を見る目もな。でないと長生き出来んぜ。
「そうなんですか? お二人すごく仲いいですし、お似合いですよ?」
「ハル、このあんちゃん張り倒していいクマ? いいクマ?」
「俺が許可する。寝言しか言わ
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