第二十六話
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浮かべる。それから小さくコホンと咳払いをして、いいですかと前置きを置いて言った。
「クレアのお姉さんの前世の記憶や現状を鑑みるに、今の私とクレアのお姉さんは魂の状態なんです」
「もう少し解りやすくお願い」
「えぇっと、まず私はレイナの体に元々あった魂なんです」
「……うん」
「だけどクレアのお姉さんの魂の方が大きかったのでレイナの体の操作権はクレアのお姉さんに移りました」
「…………うん」
「でも今のクレアのお姉さんは精神力枯渇で魂がすごく弱まった状態になったので、私の魂と同じ大きさになったんですね」
「………………うん」
「そこで『押しつぶしていた状態』と『押しつぶされていた状態』が解けて『隣り合っている状態』になりました。ようは箱に二つのボールを入れてみましたって状態なんです」
「……………………うん」
「なのでレイナの体の操作権を決めるためこの謎の空間に私の魂とクレアのお姉さんの魂が入ったってことです」
「……意味は解ったけど、意味が解らない」
「言いたい気持ちは解りますが、今の状況を見る限りそう判断するしかなさそうです。この謎の空間はレイナの心だと予想してますが、こんな不思議なこともあるんですね」
暢気に真っ黒な空間を見渡す女の子。
いつもなら笑い飛ばすような展開だが、彼女の言い分は確かに正しいように思える。
もし彼女の言い分が正しかったとするならば……。
「じゃあ、つまりキミはレイナなんだね?」
「えぇ、本来レイナ・シュワルツの体を操作するはずだったレイナの魂です」
なんてことだ……レイナの魂が内在していたなんて……いや、むしろ幸運なのかもしれない。だって……
「ごめんなさい!」
「えっ?」
「私の勝手な事情でキミの体を奪ってごめんなさい! 私の不本意だったにせよキミの自由を奪ったのは絶対に許されないことだ! どんなに謝っても償えないと思うけど、ごめんなさい!」
恥も外聞も無く頭を下げた。極東で言うところの土下座である。
ずっと心に引っかかっていたことなのだ。本来宿るべきはずだったレイナの魂を押しのけて私が収まってしまったことが。気にしていてもどうしようもないと思っても、やはり罪悪感は消えなかった。
でもレイナの魂は追い出されずにレイナの体に残っていた。レイナの説明によれば押しつぶしてしまっていたみたいだけど、こうしてじかに話すことができた。
ならば謝るしかない。身も知らずの人に体を奪われたレイナの気持ちは私に推し量ることは出来ない。だけど少なくとも許されるようなことじゃないのは確かだった。私が意識を失うまでの13年間、彼女をここに閉じ込めていたのだから。
しかしレイナは目を丸くした後、くすくすと上
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