第二十六話
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じゃないかってくらい自然に気が付いた。
周りを見渡したら真っ暗だった。いや、ただの真っ暗じゃない。何というかな、視界が見えないとかいう感じじゃなくて、真っ黒な部屋にいる感覚かな。でも足元は底なしの深淵が覗いているように感じる。たまらなく不思議な感覚だよ。
ん? なんか私の背、伸びた? 誰かに持ち上げられたような、不自然に視界が高くなったような……。ていうか今着てる服もさっきまで着てたやつと全然違うな。よく見れば手の大きさも全然違うし、髪も藍色が混じった黒だし……。
あれ、これ前世の私の姿じゃない?
「そうですよ。クレアのお姉さん」
暗闇から唐突に投げかけられた声。それは真後ろだった。
さっき見渡したときは私以外なにも無かったはずなのに! 驚きながらもすぐさま振り返ると──
「私としては初めまして、です。クレアのお姉さんにとってはさっきぶりですけど」
緑の生地に白のラインが縁取る着物のような服に、13歳の誕生日にお母さんからプレゼントしてもらった同じ配色のナースキャップを付けた女の子がちょこんと座っていた。
それは今日の朝、私が鏡の中で見た女の子と全く同じ姿だ。
「レ、レイナ……なの……?」
「はいです。正真正銘、レイナ・シュワルツです」
こ、これは一体どういうことなんだ……? 私は精神力枯渇で意識を失ったはず。じゃあこれは私の夢? それにしては妙に現実味を帯びてる気がする。それじゃ【フレイヤ・ファミリア】の刺客が私の気絶に付け込んで幻惑魔法か何かを仕掛けた? そんなまどろっこしいことしてる暇があったらフレイヤ様に突き出すかその場で殺すでしょうね普通。
整理すればするほど意味の解らない状況に、レイナらしき女の子は歳相応の可愛らしい笑みでくすりと笑う。
「こう見えて、私もかなり動揺しているんですよ? なにせ、私もクレアのお姉さんのようについ今意識が戻ったような感覚ですから。ひとまず座ってお話しませんか?」
「う、うん、そうだね……」
こう見えてって、本当に動揺してるのかいキミ……。動揺しているどころか楽しそうに見えるけど……。
私の思いを見透かしたように女の子は言う。
「楽しいですよ? 私の記憶にあるクレアのお姉さんそのものとお話できるのですから」
「……ごめん、キミ一人だけこの状況を理解してるようだけど、私は何も解ってないんだ。だから一から説明してもらえると助かるんだけど」
「あぁ、そうでした。つい今合点がいったものですから、ついつい先走っちゃいました」
てへへ、と頭の後ろを掻きながら照れ笑いを
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