第二十六話
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「さすがに無茶にも程があったかな……」
土ぼこりに塗れた服がいつもより重く感じる。それどころか頭もぼーっとするし、視界も何だかグラグラしてる。今じゃ槍を杖代わりにしないとまともに歩けない状態だ。
十中八九、精神力枯渇である。【ヒリング・パルス】は発展アビリティのお陰で非常に使い勝手の良い魔法だけど、もともとはどんなに速く詠唱しようとも30秒は掛かる超長詠魔法なんだから精神力も相応の量を消費する魔法だ。それを一回【水連】を使う度に使用してたんじゃ精神力がすっからかんになるのも当然だ。むしろよくLv.1の状態であそこまで景気良く使えたなと思う。精神力は個々人の器に比例する、と前世で魔法を研究していた知り合いが言ってたような気もするけど、確かに前世の私だったらこれくらいの魔法連打は出来たし、その通りなのかもしれない。
七層でオッタルと交戦して成り行きで八層に落下、そこで終戦した。
オッタルという名前はアスフィを調べるときに副次的に得た情報にあった。【猛者】の二つ名を持ち、名実ともに現代のオラリオ最強の冒険者。
なるほどアイズと比肩できる人物じゃなかったよ。初見殺しの【水連】を使っても一瞬で看破してきたし、思った以上に即興にも富んでいたし読み合いも中々だったから後半少し焦った。
とは言え、ステイタスに頼らない戦いというのはオッタルにとって不慣れなものだっただろう。ステイタス度外視の戦いは私の土俵だ。即死か喉を潰されない限り絶対に死なない魔法を持ってるのだから負けるわけが無かった。
それに前線を退いて久しいっぽかったしねー。戦ってる最中に勘が戻ってきたって感じかな。ファミリアの団長を務めてるから自分の都合で訓練ってわけにも行かなかっただろうし、何よりフレイヤ様の私情につき合わされっぱなしだったろうから、今回の戦いはオッタルの全力じゃなかったかもしれない。どちらにせよ私が勝つけど。
さて、頭で別のこと考えてないとまともに体を動かせない私なのだが、今いる階層は九層だ。八層を降りたときに思い出したように体が竦み始めて今に至る。一番近い安全階層は地上だけど、とてもじゃないけど無理だ。それにオッタルにかっこつけて去り台詞を吐いた手前、この状態を見られるのは恥ずかしい。ていうか殺されるかもしれない。
どうしようと思ってる今もどんどん体から意識が抜け始めて、前後左右の感覚があいまいになってくる。
あ、あー、そう言えば前世の駆け出しのころってこんな感じだったかなぁ……。
槍が地面に転がる音を最後に私の意識は途切れた。
◆
ふと意識が戻った。いきなりなんだって思うけど、本当につい今までぼーっとしてただけなん
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