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『八神はやて』は舞い降りた
第5章 汝平和を欲さば戦に備えよ
第42話 駆り立てるのは野心と野望、横たわるのは猫と豚
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なの?」
「久しぶりね、白音、お姉ちゃんだよ」


 こちらの姿をみて絶句している少女。その小柄な身体は、姉に惨敗していた。姉妹でなぜここまで差がついたのか。慢心。油断。どこがとは言わないが。巨乳死すべし。
 一人で来た――と、本人はそのつもりなのだろうが。


「無粋な連中がきたようね。そこの連中、気づかないと思ったのかにゃん? 私は仙術が使えるから、気に敏いにゃん」


 繁みに向かって声をかけると、そこからぞろぞろと人影が出てきた。兵藤一誠、リアス・グレモリー、姫島朱乃、木場悠斗、ゼノヴィアだ。


「|禍の団≪カオス・ブリゲード≫の黒歌、だったわね? なぜ、魔王主催のパーティーに来ているのかしら。まさか、テロでも起こすつもり?」
「違うにゃん。本当は冥界で待機だったのだけれど、ちょっとした野暮用で来たにゃん。もう用事は終わったから帰るわ――白音と一緒にね」


 あの時一緒に連れていけなかったからね、と黒歌はつぶやいた。あの時、とは恐らく、塔城子猫を助けるため下種な元主の悪魔を殺し、逃げたときだろう。真実を告げるべきか迷うが、これは黒歌の問題。部外者のボクが口をはさむべきではない、か。
悪魔の被害者としては、彼女に幸せになってほしい。

 黒歌が、目を細めて塔城子猫を見つめると、彼女はおびえたように、びくりと震えた。それに気づいたのか、木場悠斗が、庇うように一歩踏みしてきた。


「彼女は、僕たちグレモリー眷属の仲間だ。奪われるわけにはいかない」
「この子は、私たちの家族よ。はぐれ悪魔の貴女なんかに指一本触れさせないわ」
「……」


 リアス・グレモリーも続いて、塔城子猫を渡さないと宣言した。原作通りの展開だな、と思いながら静観していると、黒歌が、うつむいて黙り込んでいた。どうしたのか。

「…………奪う? ……家族だって? 笑わせんなッ! 私をはぐれ悪魔にしたのも! 家族を! 白音を奪ったのも! 全部、全部お前たち悪魔じゃないかッ!」


 お前たちさえいなければ、私たち姉妹は離れ離れにならずに済んだ。突如涙ながらに訴えかける黒歌をみて、周囲は愕然していた。ボクもその中の一人だ。こんなむき出しの感情を発露した彼女は初めて見た。

 黒歌は、普段はもっと飄々とした女性だ。けれども、ボクたちは知っている。妹を守るため、賞金首に、はぐれ悪魔になって、必死に生に食らいついてきた。もう一度、妹を守るため。会って、幸せに暮らすため。

 さきほどアジトで昔語りをしていたのを引きずってしまったのかもしれない。昔を思い出した直後だと、ボクもよく感情的になるのだから。と、いうことはボクのせいか。


「……姉さん、私は――」
「リアス嬢とその眷属がパーティーを抜けだしたからと、追い
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