第37話
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を辿り前方に目を向ける。
そしてそこで――信じられないものを目にした。
「三号、四号、五号! 兄弟の仇をとったれぇッッ!」
衝車だ、それも一台ではない。
先程破壊した物と同様のものが三つ、曹操の軍中を此方に向かって移動していた。
「……あ」
側近の男は力が抜け、その場に崩れ落ちる。
彼は華雄軍の中でもとりわけ知に秀でた者で、戦況の読みには定評があった。
そんな彼が力なく崩れ落ちている、それが如何に絶望的な状況であるか再確認するには十分で――
「立て」
「か、華雄様!」
崩れ落ちた側近を華雄が乱暴に掴んで起こす、確かに状況は絶望的だ。
華雄の命を賭した一撃を持ってようやく破壊できた代物、それが三台。
曹操軍の騎馬は門に隣接している、先程の奇策は使えない。
運ばせいてる巨石は一つ、運良く一台破壊できたしても後が控えている。
しかし華雄は――諦めない。
「運ばせている巨石を内門に戻せ。直ちに撤退、虎牢関まで退くぞ!」
「な!? それでは水関がみすみす――」
「最早全ては守れぬ、ここで避けるべきは我が軍の壊滅だ!!」
部下の一人に賈駆に向けた伝言を任せる、内容は戦の仔細。
巨岩で固めた門は突破に時間が掛かる、その後の水関の制圧。
水関の通過とそれに伴う連合軍の動き、時間稼ぎには十分だ。
「アイツなら――賈駆なら! この事態に対応できる策を思い付くはずだ!!」
「報告! もうすぐ水関の門を破壊できるとの事です!!」
「妙……ですね」
曹操軍本陣で報告を受けた郭嘉は、華雄軍の動きに違和感を感じた。
「あの大胆不敵な華雄が、二台目以降衝車に何もしないのは……恐らく」
「退却したわね」
同じく本陣に居た華琳が言葉を続ける。
主の聡明さに改めて舌を巻き、自身の存在意義に気を使って欲しい――と少し拗ねつつ郭嘉は肯定した。
「自動衝車三台を道連れにせず後方に下がり体勢を立て直す。
洛陽にいる賈駆に早馬を走らせ、策を請う心算でしよう」
「ふーん、初動としては悪くないわね……稟!」
「前方に通達『水関制圧を後方に任せ、虎牢関を一気に攻め立てよ』」
「ハッ」
董卓軍に考える時間など与えない。衝車の目的は門を破壊することだけなのだ、ならば策を編み出す前にかたをつければ良い。
虎牢関の門も破壊できれば、圧倒的戦力差の前に董卓軍に成す術は無い。
「この戦――「急報!」」
貰ったわね、と言葉にしようとした瞬間遮られる。
不快ではあるが、この程度の事で激怒するほど華琳の器は小さくない。
しかし――
「え、袁紹軍が動き出しま
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