第37話
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そう考えた華雄は内門を封鎖、敵が門を破壊しようとした場合に備え、巨石で補強したのだ。
――まさか裏目に出るとはな
水関から打って出るには巨石を退かす必要がある。しかしそれをすれば、門は衝撃に耐え切れず破壊されるだろう。
今運ばせている巨石の一つは、あの憎い衝車に落とすためのものだ。
「急げ! 巨石をここまで持ってくるんだ!!」
部下の一人が急かす中、それを鼓舞すべき華雄は沈黙を保つ。
――間に合わない
華雄の勘がそう強く告げていた。
ではもう手が無いのだろうか、否、一つだけある。
「張義、縄梯子を今すぐ下ろせ!」
「縄梯子!? まさか姉御したに行く気……じゃ」
華雄の姿は既に無く――瞬間、その地全体が揺れた。
「な、何や!?」
その衝撃に耐え切れず尻餅をついた李典。余りの揺れに天災の類を疑ったが揺れは一瞬だけだ。
では何の衝撃だろうか、確認しようと立ち上がり前方に目を――
「んな……アホな」
向けて硬直した、彼女の視線の先では『二号』が大破している。
だが李典が声を上げたのは自身の傑作に対してではない、その上に居る『衝撃』の正体に対してであった。
「衝車……破壊させて貰ったぞ!」
『ウオオオオオオォォォォォォッッッッッッッ!!!!』
華雄だ! あろう事か彼女は水関から飛び降り、勢いそのまま衝車に戦斧を振り下ろし破壊したのだ。
大胆不敵、勇猛果敢。
その光景に連合、華雄軍双方から声が上がった。
「しょ、正気かいな!」
李典の口から思わず言葉が洩れる、無理も無い。
確かに華雄は衝車を破壊したが、その代償に敵中で孤立している。
ここから連合が彼女を攻め立てれば、いくら猛将とはいえひとたまりも無いはずだ。
「無論正気だ」
言うが早いか、華雄のすぐ側に縄梯子が下ろされる。
上では彼女の部下らしき者達が『姉御ォ!』と声を上げていた。
「逃がすわけないやろ! 弓隊、敵将華雄に向かって一斉掃射や!!」
『ハッ』
「ちっ……!」
容赦なく放たれる矢を戦斧で叩き落す。その人間離れした芸当に李典は目を見張るが、手は緩めない。
いくら華雄とはいえ、梯子を上りながら矢を防げるはずが無い。
このまま彼女の動きを封じ、春蘭達騎馬隊の到着を待つだけだ。
突然の事態にも関わらず反応した李典は流石である。カラクリばかりに注目されがちだが、彼女も有能な将の一人なのだ。
「止む終えん」
――な、上る気かいな!?
縄梯子を握った華雄、それを見て何度目かわからない驚愕に李典は目を見開く。
しかし次の瞬間、李典の予想が破られると同時に再び驚愕さ
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