30.そのとき、閃光が奔って
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では聞こえなかったな」
「うーん……あいつ、『何をされた』と思う?」
「魔法か魔法具を使ったものだろう。自然現象とは思えん。狙撃か時限式かは調べてみないと何も……今から調べるか?」
「ギルドを呼ぶ前に現場を触って変に疑われたりはしたくないんだけどなぁ……」
やや遅れて、レフィーヤは二人が「戦いの空気」を纏っていることと、レフィーヤを庇う形で周囲を警戒していることに気付いた。という事は――先ほど倒れた人は何者かに攻撃されたということか。大きな怪我をしたようには見えないが、そこまで理解すれば後の行動は早かった。
今度は落ち着いて戦闘用の杖に自然と手をかける。ダンジョン内でも奇襲に対してだけは口を酸っぱくして先輩方に教わってきたからだ。
「あの、私は何をすればいいですか?」
「………やはり敵意は感じない。接地トラップらしいものもなさそうだ。これ以上の警戒は無駄だな」
「と、ブラスが言ってるから特別警戒する必要はないかな?襲撃者がいないってのもそれはそれで不気味ではあるけど」
ブラスの意見を全面的に信用してアズはすぐさま鎖を仕舞う。緊張した割には呆気ないと思いつつ、臨戦態勢を解く。たった二人でダンジョンの深層まで潜る格上冒険者の判断である以上、レフィーヤの判断よりは確実だろう。急激に高まった緊張感を紛らわすようにふう、とため息をつく。
「こんな街中で人を攻撃するなんて、もしかして闇派閥の一派ですかね……?」
だとしたら由々しき事態だ。
オラリオも治安のいい街とは言い難い部分があるが、少なくとも街中の往来で突然人が襲われるほど腐った場所ではない。その治安をあざ笑うかのように人を襲ったということは、犯罪を犯しても構わないような裏の立場にいる存在の可能性が高い。
今でこそ連中の活動は不活発だが、昔はかなり暴れまわったとレフィーヤも聞き及んでいる。それが人を襲い始めたとすれば、街を揺るがす大事だ。
だが、ブラスは静かに首を横に振った。
「派手好きの連中にしては随分しょぼくれた手口だ。あの屑共ならやる時はもっと派手にやる。ともすればそちらの線は薄い……個人狙いの可能性もあるな。さてと……おいアズ」
「何だ?」
「面倒事は御免だがここからとんずらして後でギルドの連中に疑われるのも癪だ。お前、ひとっ走りしてギルド呼んで来い……………立体機動を使わずに」
「使わねぇよ。前にミスしてフレイヤの部屋に突っ込んで以来やめることにした」
「何!?馬鹿野郎、早くそれを言え!何度フレイヤの部屋に突っ込もうが気にすることはないからとっとと飛んであの女神に迷惑かけてこい!」
「そんなに何度もあんな所に突っ込むかアホ!街で一番高い場所だぞ!?届くけどさ!」
「ならワザと突っ込め!そして奴に迷惑の波状攻撃を仕
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