30.そのとき、閃光が奔って
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て納得できない私がいるんですが、本当に本当なんですか?」
孤高の女剣士という肩書が良く似合いそうな女性――その正体がまさかあの『狂闘士』だなどと、誰が想像できようか。真実を知らされた瞬間の衝撃は筆舌に尽くしがたいほどだった。確かに言われてみれば顔のパーツや背丈、服装など共通点が多いのだが、下手をしたら女より色気があるその出で立ちにレフィーヤは一女性として理不尽なものを感じずにはいられない。
本当にからかってませんよね?とアズに目線を送ると、彼は肩を竦めた。
「信じられんかもしれないけど大マジだよ。魔法に関しては俺よりレフィーヤちゃんの方が詳しいでしょ?魔法使いとして違和感や気配みたいなの感じない?」
「普通なら感じる筈なんですけど、ちっとも……どれだけ複雑な魔法を使ってるんですか?」
「神造魔法」
一瞬ブラスの発言の意味を理解できなかったレフィーヤは、頭が真っ白になった。
「………………えっと、ご自分が何を言っているのか理解しての発言ですか?」
神造魔法――精霊を媒体とした通常魔法と根底を違える、「神気」を源泉とする「神の魔法」。確かに理論上、冒険者の身体にはごく微量の「神気」が存在する。しかしそれは砂粒一つを動かす事にも使用できないほど微量であり、自力で「神気」を精製することも人の身では不可能。
それを使えるのは神か、神の血を引く存在だけである。
しかし、同時にそれはエルフの血が流れるレフィーヤを以てして全く精霊の気配を感じられない事に説明がついてしまう。「神気」を源泉とするのなら全ての過程を精霊の力を借りずして行うことが出来るのだから、感知できないのも当然の事なのだ。
まさか――いや、そんな筈は――あり得ない筈なのに、あり得なくはない。そんな葛藤を見透かしたように、ブラスは小さく笑った。
「ふっ……ちょっとしたジョークだよ。そんなに難しく考えるな」
「で、ですよね!人が神の魔法なんて仕える訳ありませんよね〜!」
「魔法の正体は『俺も知らない』が、俺が使いこなせているのならそれは俺の力だ。それだけ分かっていればいい」
「……えっ」
今――とても聞き捨てならない一言が聞こえた気がしたのだが。
咄嗟に聞き返そうとした瞬間、レフィーヤの肩に正面から急に現れた影に衝突した。
「きゃあっ!?」
「わっとぉ!?」
小柄なレフィーヤはあっさりとその場から弾かれて後方へバランスを崩す。次に訪れるであろう衝撃を予想して咄嗟に身を丸めて目をつぶる。しかしその予想に反して衝撃は訪れず、代わりに知らない男性の声が耳に届く。
「おっと、ごめんよキュートガール!急いでてね!」
どうやら声の主は走っている途中にレフィーヤにぶつかってしまったらしい。せわしない足音はその
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