29.其の名は「告死」
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かく、これから問うこれは本当に重要なことだった。
「――試作の『短魔剣』のこと。前に渡したでしょ?感想聞かせてくれる?」
「昨日の内にいくらでも聞く機会があったと思うのだが……忘れていたな?」
「わ、忘れてたわけじゃないんだけど、後で良いかな〜……ってのを10回ほど繰り返したら次の日になっていたというか……」
「……まぁいい。使った感想を言えばいいんだな?」
盛大に目先の欲に釣られていた女神は人差し指を突き合わせていじいじしている。あんたのキャラですることかと思わないでもないオーネストだが、剣の評価は彼女の仕事にも関わることに違いはない。
短魔剣――それは、随分前にヘファイストスが寄越した『試作品』だ。
この世界には『魔剣』と呼ばれる剣が存在する。ごく限られた妖精の加護を受けし血筋の鍛冶師にしか作ることが出来ないその剣は、他のどの武器にも存在しないある特性故に通常では考えられない高値がつく代物だ。その特性とは――どんな剣士が振るおうが、込められた強力無比な『魔法』の力を放出して敵を薙ぎ払う強力無比な力破壊力を秘めていることである。
使用回数を過ぎれば砕けてしまうという脆さもあるが、この武器を用いればレベル的に格上の相手であろうと大量の敵であろうと込められた魔法次第では撃破が可能だ。しかも使用するのに技量が必要ないため、非力な者でも一時的に強者に仕立て上げる事の出来る『魔法のような剣』だと言えるだろう。
「貴方に渡したあれは、言うまでもなく私の作ったものではない。うちの子の一人が作ったものよ。テスターとして製作者に伝える意見が聞きたいわ。率直に言って、あの武器はどうだった?」
オーネストに渡されたのはその魔剣を『魔法使用のための道具』として突き詰めた短剣型の魔剣だ。オーネストに渡された剣には『ブラストファング』という風の衝撃波を爪のように圧縮して飛ばす魔法が込められていた。攻撃範囲は狭いが、非常に高い貫通力を持った逸品だ。
オーネストもそれは使った。込められた魔力はかなりのもので、それなりに下の層の魔物にもダメージを与えるほどだった。それらすべてを加味して、オーネストは一つの結論を導き出した。
「あれはよく出来た玩具だった。ただ、玩具の域を超えるような代物ではない」
「あらら………やっぱりそう言うかぁ。普通の剣士なら10人が10人凄いって言うくらいの物ではあったんだけどねぇ……」
試作品とはいえ魔剣は魔剣。込められた力の強力さ故に、その剣を求める手はこの世界に数多ある。それほどに魔剣の力とは人を魅了し、時には狂わせるほどの輝きを放つ。流通数が圧倒的に少ないからか、大枚をはたいて買っておきながら倉庫に仕舞って使わないなんて連中もいるほどだ。
なのに、そんな剣であってもオーネストにと
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