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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
28.むむむ。
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だったそうだ」

 深いため息を吐いたウラノス。もしも彼がまだ天界にいれば、直ぐに事態に気付けたはずだ。だが、力ある神々の多くが地上に降り立った今、天界には最早余裕などない。今までは地上の平穏を乱すであろう神も、事前に連絡さえあれば何かしらの対策を立てられていた。しかし、今回のこれは致命的に遅すぎた。

「………神の中にも、人間で言う双子や兄弟のように容姿が似ている者は存在する。『その神』は、自らと容姿がそっくりな一人の神を言いくるめて自分の身代わりを要求し、自身は天界のだれにも気づかれることなく地上へと降臨した……奴は監視が始まる前に替え玉を用意し、誰にも気づかれぬように地上を監視し続け、入念な降臨計画を整え……100年近く前に地上へ降りた」
「何の、ためにでしょうか」
「分からぬ。分からぬが、ひとつだけ確かなことがある」

 重苦しい空気を纏ったウラノスは、ロイマンが今までに見たことがないほど険しい顔で、告げる。


「あ奴は退屈で降りるような存在ではない。それでも地上へ降臨したという事は………何らかの『終末』を告げるつもりであろう」


 その言葉は、大いなる不吉を予言せし神託。
 人も、神も、男も女も老いも若いも清濁併せ呑みまんとする巨大な嵐が、音もなくオラリオに近づいていた。


「……時にウラノス様。地上に降りた神一柱――メジェド様は誰もその素顔を見せたことがないと聞きます。かの神には謎も多い……まさかあの方が『その神』とすり替わってオラリオに侵入しているということは――」
「ないな。あんなみょうちくりんな格好で平然と暮らしてしている神など地上と天界を探してもあの神しかおらん。大体、あれの謎が多いのは昔からだ」
「………はぁ」

 ロイマンとしてはかの神は割と謎が多いので「繋がった」と思ったのだが、気のせいだったらしい。
 
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