28.むむむ。
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はガウルの餌釣りに引っかかって機嫌を良くしたのか背筋をピンと伸ばす。とりあえず機嫌は直ったらしいが、表情が読めないのでいちいち不気味だ。
この街に数いる変な神様たちのなかでもメジェドは間違いなく一番変な神様だ、とベルは確信した。……少年はまだ知らない。その言動でメジェド以上に有名な変神がいることを。
『むむ、今日はとても機嫌がいいので私はホームへ帰るよ。ガウルも友や後輩と過ごすのもいいが、たまには早く帰ってくるといい……キミにはいつも期待しているよ、むむ』
「ちなみに俺もメジェドがいつかその頭巾を脱ぐ瞬間を期待してるんだけど」
『生憎とその予定はないよ、アズライール・チェンバレット。だがもしもその姿を晒すとしたら………』
頭巾の所為で目背は不明だが、心なしかメジェドの気がガウルに向いてる感じの雰囲気を感じる。
『………い、いや。何でもないぞ、むむむむ。もう帰る。むむ』
「ばいばーい。あ、ガウルはそんなに長く付き合わせる気はないから安心してくれ」
『それは朗報だ。むっむっむっむっ』
(………それはひょっとして笑っているんですか?)
小刻みに震えるメジェドを見てリリはそう推測するが、事実を確認する前にメジェドはスキップしながら帰ってしまった。
あの服装でするスキップは、想像を絶するほどにシュールだった。
「…………か、変わった主神様ですね」
「正直、俺もそう思う。でもいい神なんだ……どこからともなく俺の右腕を確保してきたし」
「謎だ……そもそも、あの神様は男なんですか?女なんですか?」
「ぶっちゃけ誰も知らないんだよねー、オーネストも知らないらしい。これもう分っかんねぇな」
この世の事は大体知っているオーネストさえ知らないとなると、最早それは人知を超えた領域。メジェドの性別とは人が踏み込んではいけない禁断の知恵なのだ。真実を解放する手がかりは、あの神の唯一のファミリアであるガウルの手にかかっているのかもしれない。
= =
ギルドという組織は、ギルド長であるロイマンを中心として活動方針を決定している。
しかし、そのギルド長には絶対的なルールが存在する。
それは、ある神の意向を必ず組織運営に反映させることだ。
「――ウラノス様。ロイマン・マルディール、ただいま到着いたしました」
ギルド地下――大祈祷場に、その神はいつも鎮座している。
「うむ……表の仕事、ご苦労であった」
賢者という言葉が良く似合うだけの英知を湛えた瞳に、老いて尚威厳を失わせぬ威厳と皺。地上に君臨しながらも決してファミリアを作ることなく過ごすこの神こそが、ギルドの創設者、ウラノスだった。
「いつも忙しい所を抜け出させてすまんな」
「いえいえ、貴方様
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