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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
28.むむむ。
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んですよねぇ……」
「リリちゃん向けねぇ………あ、そういえばフィンがいつか酔った拍子に『小人族の嫁が欲しい』とか言ってた気がする。ロキ・ファミリア行ってみる?」
「ヤです」
「………『勇者(ブレイバー)』のフィンだよ?ロキ・ファミリア団長で優良物件だよー?」
「絶対ヤです。そんな大手に戦闘力皆無のリリが入っても苦労する予感しかしません。あと、自覚ないかもしれませんがアズ様もスペックだけなら優良物件ですよ?競争率も低いですし」

 言われたアズはそうか?と首をかしげたが、聞いていたベルは確かに、と納得する。
 強くて金持ちですらっとした体格は男として羨ましく思う。何よりアズは優しい。あの死神のような気配さえなければ文句なしにモテるだろう。逆を言えば、死神の恐怖さえ克服してしまえばそこに残るのは優良物件なのだ。
 しかし、リリとアズが結婚するというのはイメージしにくい。年齢はそんなに離れていないらしいが、二人がくっつくと言われると「養子縁組」の4文字がどうしても頭をよぎるほど体格差がありすぎる。

「まぁ俺のことは置いておいて、何ならヘスヘス………というかベルのファミリアにでもお世話になるか?将来性は無きにしも非ず、だぜ。なぁベルくんや?」
「……えっ!?あ、ええと……入団希望はいつでも受け付けてると思います。確かにリリが来てくれるんなら心強いなぁ。ヘスティア様も本格的にファミリアの経営はしたことがないって言ってたし」
「ふぅん………会ったことはありませんが、アズ様とゆかりの深い神なら確かに入りやすくはありますね」

 『改宗』も楽ではない。そもそも新人がファミリアに入るのだって一苦労なのだから、誰かのオファーも無しに他の神に鞍替えなんてもっと難しい話だ。そういう意味ではバックに金持(アズ)ちのいる新参ファミリアというのは将来性もある程度あって人手も飢えている筈だ。
 今すぐにとは言わないが、選択肢としては十分アリ。そう判断したリリは密かに転職リストにヘスティア・ファミリアの名を書き加えた。

「そういえばガウルの所も一人ファミリアだよな。そっちはどうなんだ?」
「新ファミリアかぁ……メジェド様はファミリアを集めてないからどうなんだろう。本人に聞いてみないと……」
『むむ……たしかに私はファミリアを集めていない………ガウルは特別なんだぞ』
「へぇ、そうなんですか。貴方が面と向かってそういう事言うの珍しいです…………ね?」

 くぐもった中性的な声に何気なく返答したガウルの足がピタリと止まる。

 アズ以外の全員が全く気付かぬうちに、ガウルの真横に――白くて巨大な頭巾で『全身』を隠した不審者がいた。

「どわぁぁぁぁぁぁぁッ!?めっ、めめめめ……メジェド様ぁッ!?い、いつからそこに!?」
『ついさっき……むむ』
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