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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
28.むむむ。
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最中にそのナイフよりリーチの短いカードでガウル様の斬撃を受け止めたんですか………やっぱり人外じゃないですか!」
「や、これは受け止められるなーって思ったから斬撃と俺の間にカードを滑り込ませて止めたんだよ。ガウルも本気じゃなかったからこそできた真似さ」
「………俺の斬撃を喰らってもカードを取り落さない指の力はどう説明する?」
「そこはそれ、このイロカネに俺の鎖を融かして混ぜたからね。軽くマジックアイテムっていうだけだよ」
「今更気にする事でもないと思っていたが!お前の鎖は一体なんなんだよッ!!」

 アズライールと書いて、何でも出来ると読む。なんとなくそう思った3人だった。



 = =



 ベルは密かに気になっている事があった。
 アズは、前から主神ヘスティアの友人(友神ではない)だったそうだ。
 そのアズの友達がガウルであり、ガウルの主神もヘスティアと知り合いらしい。

 では、リリは?

 リリことリリルカ・アーデは唐突にアズが連れてきた女の子だ。可愛いけど、時々彼女に踊らされている気がしてならない。
 彼女は冒険者の中でもサポーターという役割をやっているそうだ。サポーターがどういう役割なのか、どういう扱いを受けるのかも一通り本人から説明された。小さな体と背中の大きなバックパックだけで「サポーターかよ」と馬鹿にしたような口調で呟く人も見たし、そのバックパックの影からアズの顔が出た瞬間に顔色を変えて口を押えながらダッシュで逃げるのも目撃した。

 彼女に戦闘能力はないに等しいが、冒険者歴は長いので知識は豊富なのでその助言は参考になる。なるのだが……お金を稼がなければいけないサポーターが何故こんな金にならない新人育成に付き合っているのだろう。
 自分の前を歩くリリを見る。リリはアズの顔を見上げてお喋りをしていた。

(やっぱり考えられる理由はアレだよなぁ……)

 そう、リリはいつもさり気なくアズの近くにいるし、よくお喋りをしている。ガウルやベルにはどこか一線引いているような丁寧な雰囲気があるが、アズ相手のときはその表情がどこか緩んでいる。色恋沙汰とは縁が遠めだったベルでも、リリがアズのことを慕っているかどうかくらいの分別は付く。

「アズ様ー」
「ん?なーに?」
「リリ、そろそろ『改宗』しよっかなーと思ってるんですけど、どう思います?」
「いいんじゃない?リリちゃん今は退屈してるみたいだし、ソーマの所はあんまり楽しいファミリアとは言い難いもんなぁ。あいつ本当に酒造り以外に興味ないから経営は殆どあそこの団長がやってるし……っと、そうなると団長の許可が必要か」
「あ、そっちは大丈夫です。アズ様の名前をちらつかせたら快くOKしてくれると思いますんで。問題はその後、どこのファミリアに行くかな
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