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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
28.むむむ。
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遊ぶようにじゃらりと鎖を弄び、今度は両手を始点に鎖を発射させる。寸でのところで跳躍して攻撃を免れたガウルは舌打ちする。

「ちぃっ、手品師め!物理法則くらいは守ったらどうだこの問題児ッ!」
「だったらこういう手品は如何かなっとぉ!!」

 斬り込んできたガウルの剣に対してアズが手を掲げ――ぱちん、と指を鳴らす。
 ガキィィィィンッ!!と音を立て、ガウルの押し込む刃が止まった。

 一瞬素手で受けとめたように見えて「アズさんも義手なの!?」と思いかけたベルだったが、次の瞬間に目に映った事実に唖然とした。ガウルの刃を止めていたのは、アズの指先に掴まれた道化師の絵柄のトランプカードだった。横のリリは頭を抱えている。

「と……トランプで受けとめてるぅッ!?」
「うわぁ……やっぱりアズ様は人外なんですねぇ……」
「騙されるな二人とも。こいつは『アズの力』じゃねえ、タネも仕掛けもある善良な手品だ」
「あ、バレた?」

 へらっと笑いながらアズは素早くトランプを振り抜いて剣を弾き飛ばし、ガウルに回し蹴りを放つ。彼らしくない荒っぽい動き対してガウルも自らの蹴りで対抗し、脚同士が衝突。攻撃の反動を利用した二人はまた間合いを取った。

(あ、アズさん格闘も出来るんだ……!?てっきり鎖に頼り切りなのかなーって思ってたけど、凄い……)

 ベルの関心をよそにばさりとコートをはためかせ、アズは自らの使ったカードを掲げる。そこいらの市販品とは比べ物にならないほど洗練されたデザインのトランプは、剣を受けたというのに傷一つない。

「このカード、イロカネっていう特殊金属をトランプ型に加工して『不壊属性』をかけた代物なんだ。ヒマ潰しに作ったはいいけどやっぱり戦いには向かなくて普通にトランプやってるよ」
「相も変わらず金持ちの道楽してるなお前は………製作に幾らかかったか言ってみろ。バカだと叫んでやる!」
「加工が難し過ぎて1枚なんと500万ヴァリス!プラス54枚で2億7000万ヴァリス!!」
「お前どんだけ下らないことに金費やしてんの!?俺の想像以上にバカだったぞ畜生ッ!!」

 2億ヴァリス以上というのは、現在のヘスティア・ファミリアのタンス預金額とほぼ同等。ちょっとした屋敷くらいなら購入できる金額だ。ヘスティアが数年間アルバイトしても生活を続けるのが精いっぱいだったことを考えると、アズの金の使い方がどれだけおかしいのか分かる。
 本人は貯金額11億ヴァリスくらいと言っているが、実はこうして時々馬鹿なアイテムの作成にドバッと金を注いでるため無駄遣いしなければ間違いなく富豪の類に類する。

「こ、これがおじいちゃんの言っていたオラリオのビッグマネー……!?」
「……の、極めて間違った使い方だ!!」
「というかつまり、アズ様は実戦の
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