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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
27.君散り給うことなかれ
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ど、ガウルが「やるなら徹底的にだ!」と言うのでこうしてみた。

「まぁ、当たっても死にはしないんだけどね。手加減してるから精々デコピンくらいの威力しかないさ」
「いやいやいやいや迫力がヤバイんですよこれ!!腕一本くらい持って行かれそうなプレッシャーと存在感が……ひょわあああああッ!!今掠った!カカトらへん掠ったぁ!」
「これを乗り越えればベルはダンジョンに必要な危険察知能力と回避力を身に着けるだろう。長時間持続させられればスタミナ増強にもなる。ステイタスが伸びれば女の子にもモテるぞ!」
「ベル様ぁ〜♪ベル様がノーミスでこの試練をクリア出来たら……リリ、惚れちゃうかもぉ♪」
「う………うわああああああああああッ!!やってやる!やってやりますともぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 モテたい。それはベルの願望の中でも大きなウェイトを占めた強力な願い。それに火をつけられたベルは今まで以上の体裁きで鮮やかに鎖を躱し始める。
 夢の為、愛する主神の為、そして何より自分自身の為に。
 熱き覚悟を決めたベルは跳躍する。

「僕は、強くなって女の子とイイ感じの出会いを果たすんだぁぁぁ〜〜〜〜ッ!!」

 なお、そんな彼の姿を見たガウルとリリは悪代官のような悪い笑みで彼の頑張りを見守っていた。

(くっくっくっ……単純な奴め。この試験にクリア時間などないわ!お前がスタミナ切れで鎖の餌食になるまでが訓練時間だ!!)
(ふっふっふっ、チョロいですねぇこの白髪。ノせるのが簡単すぎて笑えて来ますよ〜!)
「なんで俺の周囲ってみんなちょっと腹黒いんですかねぇ……」

 アズのぼやきはベルの雄叫びにかき消されて誰も聞いていなかった。

 数分後、ベル撃沈。

 耐久時間……8分12秒。まぁ、相当頑張った方だろう。何人かこの練習のテストに付き合ってもらったが、みんな8分を越えずして負けている。名付けて『死の8分』……ベルも十数回の失敗を越えてやっとたどり着いた8分だ。ここまで来るのにまる3日かかっているが、逆を言えば3日で順応したのかもしれない。
 リリの座布団にされてうつぶせに突っ伏すベルの手を、ガウルがそっと握った。

「よく頑張ったな、ベル………まだレベル1なのにここまで耐えるなんざ、大したもんだ!」
「が、ガウル師匠〜っ!!」

 その時のベルには、優しく助け起こしてくれたガウルが天の御使いのように輝かしく見えた……のだが、次の瞬間にガウルはベルに一本の瓶を手渡す。

「……という訳でこの疲労回復ポーション飲んだら今度は剣術訓練だぞ。戦いでは人より長く走れる戦士こそ生き延びるんだ。頑張って次の苦境を乗り越えてみろ!!」
「し、師匠の鬼畜生〜〜〜〜ッ!!!」
「じゃあリリは先にアガりますんで、ベル様頑張って〜〜♪近くで応援して
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