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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
27.君散り給うことなかれ
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る意味天国)の責め苦に遭っているその頃、彼とは正反対の地獄に堕ちている一匹の白兔がいた。

「ほらほら、段々と動きが鈍くなってるよ〜?はいワンツー!ワンツー!」
「はひっ、はひっ……!!も、もう休ませてくださ〜〜〜いッ!!」
「コラッ!この程度の危機で弱音を吐くんじゃありませんよ、ベル様!」

 背中に背負われたリリの愛のシバキがすぱぁん!!と頭に入って「ごめんなさぁぁぁ〜〜〜いッ!!」と叫んだベルは更に体を酷使してアズ主導の訓練に耐え続ける。

 現在アズがやっているのは『くらえッ!ベルッ!半径20M『選定の鎖(ベヒガー・レトゥカー)』をーーーッ!!』という特別訓練だ。このアズ、例え相手が親友ヘスヘスのファミリアとて――いいや、ファミリアだからこそ容赦せん。
 見学人はそれプラス、全ゴースト・ファミリアの中でも1,2を争う付き合いの良さを誇る――というか、主神のメジェドと二人暮らしの超弱小ファミリアなのに基本的にヒマしてるガウルだ。彼は眷属一人だけファミリアの先輩として彼の行く末が気になるらしく、団員が増えるかレベル2になるまでは面倒を見る気らしい。

「なかなかにえげつない訓練だな。文字通り半径20M程度の部屋にリリを背負わせたベルを閉じ込め、四方八方から鎖を飛ばしてそれを避けさせるのか………ちなみにこれ、どういうコンセプトの訓練なんだ」
「冒険者なりたての頃、ギルドでの説明を馬鹿正直に信じて魔石とドロップ全部拾ってたら30層過ぎた辺りで魔物が地面から攻撃しかけてくるようになって……荷物抱えたままてんやわんやになった俺の経験が基になっている」
「なるほど、えげつないのはそれを経験したお前とそれをさせたオーネストの方だったか……」

 その頃からアズは純度が一定以下の魔石は荷物がかさばるので全部砕いて捨てることにしている。態々砕くのは、砕かず捨てるとその魔石を魔物が拾って強化される可能性があるからだ。一度考え無しに捨てていたら「アズ・オーネストの後ろを行けば魔石が手に入る」と学習した魔物が延々とついてきて、まぁ恐ろしい目に遭った。あのバケモノ、恐らく撃破推奨レベルは6超えだったろう。
 ちなみに地面から攻撃してくるタイプの魔物はとても珍しいらしく、滅多にお目にかかれないようだ。

 ジャラララララララッ!!と音を立てて次々に飛び出す鎖は壁や地面を透過して出てくるため前触れが殆ど無く、しかも結構な速度で迫ってくるためベルは避けるのに必死だった。しかもベルの脳裏には、あの日にまるで小石を投げるように魔物を粉砕したアズの姿がこびり付いて離れないため「鎖=超即死」の図式が完成している。加えて女の子を背中に背負わせることで「ミスしたらこの子を怪我させる」というプレッシャーまでかかっている。
ここまで計算してた訳じゃないんだけ
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