27.君散り給うことなかれ
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微かに目を細めたヘファイストスは、そんな俺を見つめて小さくため息を吐く。
「………まだ踏み出す事は出来ないか」
「……?どういう意味だ?」
「さあ?それはきっと、今の貴方には関係のないことよ」
「そうか」
今は関係ないと言うその言葉に、嘘偽りはないのだろう。神は嘘を見通すと言われているが、俺も些か勘には自信がある。ヘファイストスはつまらない嘘はついていない。
いつの間にか、ヘファイストスは爪を洗い終えていた。
「………じゃあそろそろ浴槽に浸かりましょうか!ほらおいで?昔はお風呂の深さが怖くてよく私の太ももの上に座ってたじゃないの!さあ、カモン!」
「しねーよ馬鹿。体格差と年齢考えろ」
「うーん、流石にもう恥ずかしいのかしら。男の子だものねぇ……じゃあ、オーネストの太ももの上に座らせてよ。ね?」
「………してやったら満足するか?」
「する。すっごくする!」
結局してやることになった。
ヘファイストスのお尻から太ももにかけた柔らかな体が俺の身体の上に乗る。
多分、俺以外がこれをやられたらヘファイストスを襲うか鼻血を噴いて気絶するかの二択だと思う。それほどにこの人は美しいのだ。本人は眼のせいかあまり自覚がないようだが、たまにそういう所が周囲を不安にさせる。案外、何かのきっかけにコロッと落とされてしまうかもしれない、と。
当の本人は御機嫌に鼻歌を歌いながら人を座椅子にしている。
神というのは変なところでガキっぽい……と思っていると、彼女の身体が一層俺の身体に押し付けられた。
「………もう盛りだと思うのに、勃たないのねぇ。私の身体じゃ色気が足りないのかもしれないけど、ちょっと心配だわ」
「品のねぇ話をするな。まさか狙って座ったのかこの変態女神は?」
「変態じゃないわ、貴方のおばよ。で……実際問題、どうなの?」
「気合」
欲求不満は別の物事に昇華させれば減退できる。それでも消滅するわけではないが、生理現象とは言え俺の身体が起こす事。ならば俺の意志でコントロールできない道理はない。
――ちなみにこの後ヘファイストスは「私、気合いれないと勃っちゃうくらい女らしい?」と恥じらいながら聞いてきた。……この女神、実はかなりアホなんじゃないかと心配になった。というか、甥にそんな下世話な話をするな。心配っていったい何の心配だ。
(早くこの混沌地獄から脱出したい……未来はいらないから、刻よ疾く過ぎ去れ……)
(久しぶりなんだし、今回は剣を折ってないから明日には帰っちゃうんだもの。今日はた〜っぷりスキンシップ取るわよ〜〜〜♪)
この後に夕食や就寝時の地獄の絡みがあることを考えると、憂鬱な気分にしかならない。
= =
オーネストが地獄(あ
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