26.これだから神ってやつは
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犠牲精神の強い者でもない!ならば、客として扱うべきでしょう!それが真っ当な付き合いというものです!あの少年だって金を用意しているのです!貴方が身を削る理由がどこにあると――!!』
その言葉は、翳されたヘファイストスの手によって制止された。
『そう言う問題ではないのよ。私にとっては、ね?』
その瞬間の眼を、椿は未だに忘れられない。
鍛冶屋として、主神として誰よりも敬う師の単眼が見せた、哀しみに満ちた眼。
『私にとっては、あの子だけは違うのよ。決定的に、致命的に………だから、客には出来ない。お金なんかあの子に『理由』を与えるだけ。重くて邪魔なしがらみにしかならない。今となっては武器を与えることぐらいしか、私はあの子にしてやれないから……』
椿は、主神に何と声をかければいいのか分からず、暫く黙っているしかなかった。
痛いほどの沈黙ののちに出た言葉は、当たり障りのない安い慰め。
『………少年はそれでも金を工面しております。貴方に身銭を削って欲しくないから、こうして持ってきているのではないですか?』
『――そうだと嬉しいのだけど、ね』
結局、お金は受け取ることになった。
………ここまでがシリアスな話。
そしてここからがシリアルな話だ。
「オーネストは来ていないの?」
「は、はい……」
「オーネストは、もう私の元に来てくれないのかしら……」
「さ、さあ……」
「オーネスト……オーネストぉ〜……う、ううっ……」
「主、主神様!!大丈夫です。きっとそのうち来ますから!!」
「そんなこと言ったって本当に来るかどうかなんてわからないじゃない!あの子の事を他人事みたいに言うのは止めてちょうだい!!あの子はねぇ……あれでも子供の頃は私の眼帯を見て『格好いい!』とか『付けてみたい!』とか言いながらきゃっきゃとはしゃいでそれはもう可愛かったのよ!?それが今は何よ!すっかり不良みたいにヒネクレちゃって!!武器持たせなかったらギルド支給のすぐ折れるクソ剣持って冒険するし、折れないように剣を渡したら渡した分だけきっちりへし折ってボロボロで帰って来るし!!そうじゃないでしょ!?剣を大切にして戦いを控えるとかしなさいよ!!しかも私はファミリアなんかやってるから怪我したあの子を温めに行くことも出来ない!!ああ、妬ましやヘスティア!無職でヒモで紐なくせにあの子といつでも会えるからって独占して!私だって剣渡す以外の用事で来てほしいわよ!!『顔を見たかったから……』とか言われたいわよ!!………もういい!仕事なんてやってらんない!飲みに行くわ!後の仕事よろしく!!」
「え?え?あ、ええっ!?いやいやいやこの書類は主神様の捺印と署名が必要で……」
「そんなの筆跡真似て書けばいいのよ!私は行くから、
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