25.荒くれ者の憂鬱
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頼むよ」
ここではオーネストはブラスという名で椿と専属契約をした事になっている。こうすることでヘファイストスと直接繋がっていることを偽装しているのだ。周囲はブラスの素性を良く知らないが、椿の契約者ということで無碍にされることはない。
なお、ブラスは表向き『契約冒険者』と呼ばれる特殊な冒険者ということになっている。契約冒険者はいわば冒険者の傭兵であり、年間契約の代金と引き換えに即戦力を求めるファミリアへ次々に『改宗』をするレベル2以上の冒険者の俗称だ。
特定の主神に腰を据えて仕えないため不心得者だと嫌われることもあるが、新参ファミリアでは教官やアドバイザー役として『生き残る方法』を教えてくれる。お金と同じく義と信用を重んじて悪目立ちを嫌う気質の彼らは、この街の新参ファミリアの成長を密かに支える陰の功労者とも言えるだろう。
契約冒険者は基本的に同じファミリアに居座らないため、悪目立ちしたり大きな手柄を上げる事は極力避ける。もし自分が『あのファミリアの冒険者』と周囲に認識されると仕事に不都合だし、本人が抜けた後のファミリアにも迷惑をかけるからだ。しかも彼らの情報は基本的に神と神の間でしか行われないため、『契約冒険者』は目立たない。よって、ブラスが実は「存在しない冒険者」であっても怪しまれることはまずない。
が。
「ブラスさんってお肌綺麗ですよね。髪もサラサラだし……特別な美容法とかあったりするんですか!?」
「さぁな。心掛けているのは溜まったストレスをその場で発散するくらいだ」
「おお……!確かにストレスは美容の大敵ですよね!うぅん、今度ショッピングにでも行こーっと!」
……このように、女になった弊害かよく話しかけられる。騒ぎを起こさないように可能な限り大人しくしているオーネストだが、オーネストから傲慢さや自分勝手さを引いてしまうとある物が残ってしまう。
それは――外見的な魅力とミステリアスな雰囲気だ。
元々オーネストは外見だけならオラリオでも指折りの美丈夫として知られている。それがブラスとして化けている現在はむしろ普段の危険な雰囲気が減少して、普段以上にその外見的魅力が際立っているのだ。
今日もブラスの元に、叶わぬ恋心を掲げた哀れな男がやってくる。
「ブラスさん!こ、ここっこっ……」
「コケコッコーか?随分とお寝坊な朝の合図だな」
「いえ鶏のモノマネではなくてですね!こ、今晩お食事でもどうかと……っ!」
「おいテメェ抜け駆けしてんじゃねぇ!!」
「アンタみたいなムッサイ男にブラスさんが振り向くわけないじゃない!生まれ変わって出直しなさいよ!!」
「あーっ!!てめッ、言うに事欠いてなんてこと言いやがる!男は逞しくてナンボだろうが!」
「………暇なの
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