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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
25.荒くれ者の憂鬱
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 数秒後、そこにはどこかオーネストの面影がある金髪金目の美少女の姿があった。元々オーネストが細身で軽装なこともあり、服装的にも女性冒険者として不自然な所はない。いや、むしろオーネストと同じキツめの眼光のせいで妙に様になっている。他人が彼女を見ても、まさかそれが変身したオーネストだとは考えないだろう。
 『万象変異(トランシア)』はオーネストが全く習得する気が無かったのに何故か習得してしまった固有魔法だ。その効果は凄まじく、なんと変身どころか詠唱通り自分の身体を炎や風にまで変化して動き回ることが出来る。恐らくこの世に現存する最高位の変身魔法だろう。

 ヘファイストスの元にオーネストが通っていることを悟られないために屋敷を出た後に一目の付かない所で別人に変身することで普通の冒険者を装う。こうしてオーネストからヘファイストスへの直通の関係を誤魔化すことが出来るのだ。
 ちなみに性別を変えているのはオーネスト本人と確実な違いを付けるため。それでも外見がオーネストに似ているのは、彼が自分を偽るのを嫌っているから性別だけを入れ替えているのが理由だ。

 女の姿になったオーネストは、そのまま路地裏を突っ切ってファミリアホームへ足を進める。
 本当なら表通りを通った方が早いのだが、この姿は周囲から見れば相当な美人らしく、ナンパなどを受けて余計に面倒なのだ。

(どいつもこいつもたかが性別が変わったくらいで食いついてきやがって……どんだけ女が好きなんだ、この街は?)

 きっと助平男の性なのだろう。オーネストには永遠に理解できないであろう感覚だ。
 ちなみに、前に一度表に出た際にはこんなことがあった。ロキとリヴェリアに偶然出くわしたのだ。女好きのロキは案の定初めて見る女に食いついた。

「その金髪と金目……そしてグンバツなスタイル!まるでアイズたんのお姉ちゃんやないか……姉妹丼かぁ、それもええなぁグヘヘヘヘヘヘヘヘ……へぐぉ!?な、何で頭を小突くねんリヴェリア!」
「ロキ、4度ほど死んでくれ。もしくはアズと一緒に旅にでも出て二度と戻って来るな」
「………もう行っていいか?付き合ってられん」

 そういえばその場にアイズはいなかったが、彼女もオーネストも金髪金目である。
 一部では本当に血が繋がっているという噂もあるのだが、アズを通してロキに彼女の両親についての探りを入れたところ「親戚の可能性もなくはないです。」だそうだ。……いいや、きっと偶然だろう。

 どうでもいい事を考えているうちに、オーネストはホームに着いた。
 時間帯の関係かそれほど人のいない受付に歩み寄り、カウンターに肘をかけて受付に声をかける。

「失礼。椿は今いるか?」
「あ、ブラスさんお久しぶりです!ちょっと待って下さいね、呼んできますからっ」
「ああ、
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