23.舞空遊跳
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がどこか動物的な気性だからだろう。見かけたらちょろちょろ近寄って来るし、館でも暇になると近づいてくる。盾作成の専属契約を交わしているから余計に顔を見る機会は多かった。
(ま、彼女が人間的な「好き」を見せるのはオーネストと一緒にいる時だけなんだけどね……)
そう考えるとほんの少しだけ喉に何かつっかえた気分になるのは何故だろう。とりあえず、こんなソリの合わないのに恋してたとは考えたくないので普段は気にしないことにしている。確かにココは美少女かもしれないが、頭に「残念」の文字を接続した方がよりしっくりくる。
「はぁ……ともかく、君が盾を大事に使ってくれるんなら製作者冥利に尽きるよ」
「どもども。でも、うーん……フーって変だよね」
「君に言われたくないよ!……というか、どこが変なんだい?」
「だってさ。そーいうのってさ、鍛冶屋としちゃあ商売あがったりなんじゃないの?防具が壊れなかったら仕事なくなるから売上げ落ちちゃうじゃん。唯でさえそんなに景気がいいファミリアじゃないんだし、仕事が減ると困るんじゃない?」
「ファミリアの経営に関しちゃ一言余計だっての!まったく、何を言うかと思ったら……君らスキタイの戦士たちの盾は一つ一つがオーダーメイドなんだよ?一つ作るのにそれこそ1週間以上かかるくらい丹精込めてるんだ。そんなに気合を入れたモノをしょっちゅう壊されたら造り直すこっちの精根が保たないって」
フーは苦笑いしながら肩を竦めた。実際にはそれに加えて盾に使用する希少金属の仕入れなどにも手間がかかるため、更に時間がかかることもある。
「そもそも、そんなにしょっちゅう壊れるような装備作ってたら親方に殴られる。『冒険者の命を護るのはお前の防具なんだぞ!』……ってな風にね。だから私の防具は装備する冒険者の無事を祈って全力で造る。もしそれでも防具が壊れるんなら、次はもっと凄い奴を作ってやるさ」
「むむ……偶にはアツい事言ってくれるじゃん!そーいうのがフーの戦いって訳だね!」
「そう言う事さね。それに、盾は私の子供みたいな存在でもある。それが壊れず無事に戻ってくるのはいいことだ。きっちり役目を全うしてるんだから……長生きしてほしいのが親心、さ」
盾に注がれる柔和な視線。使命を果たす我が子を可愛がるように、フーの指先がココの盾を撫でる。
道具は消耗品だ。武器に拘りのない戦士だと平気で手入れを怠って、早く道具としても役目を終えさせられる。ギルドなどで配布される安物の大量生産品ならそうでもなかろうが、手間暇かけて製造された物ならば作り手も使い手も愛着というものが湧く。
少なくともココには、今のフーが自分の埼品に愛情を注いでいるように見えた。
「君も無茶して壊れないでくれよ、ココ」
「……………う、
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