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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
23.舞空遊跳
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集団だ。遊牧騎馬民族として武勇を立てては来たが、生まれついてのアドバンテージはないに等しい。だからこそ、彼等は常に戦闘技術に磨きをかけている。
 『衝撃受流(パリィ)』も『衝撃相殺(ブロック)』も決して門外不出ではないし、練習さえすれば他人にも真似事が出来る。だが、それを実戦や土壇場で活用できるレベルになる者は殆どいない。二つの技術は共に失敗した際にモロに攻撃を受けるため、リスクを考えれば回避に行動を絞った方がいいからだ。
 ところが、スキタイの戦士は当然として20歳になる前には回避・パリィ・ブロックの3つのどれでも敵の攻撃を防げるようになっている。だからスキタイの戦士は武器を滅多に壊さない。予想外の攻撃で装備に予想外の負荷がかかる率が周囲と比べて異様に低い証拠だ。

「ドワーフなんかあっという間にベッコベコにしちゃうからね。やっぱり盾の扱いは君達(スキタイ)が一番だ」
「ふっふん、もっと崇め奉るがいいわー!」
「はいはい……まったく君はこーいう時だけ調子がいいねぇ」

 こうやってスキタイを褒められたとき、ココは何となく自分が褒められるよりも誇らしい気分になる。理由は自分でもよく分からないのだが、きっと自分を育て鍛えてくれた人々が素晴らしき先人だったのだと思えるからなのだろう。

「でもそんなこと言うなんてちょっと意外〜。フーってば戦いには行かないのにそういうのは知ってるんだ?てっきりここに籠りっきりでソッチの知識は駄目なのかと思ってたけど」
「おいおい、何言ってるんだ。君が暇さえあればスキタイの偉大さについてこんこんと語り続けるから覚えたくなくても覚えたんだよ……?」
「そだっけ?全然覚えてない!」
「ったく、自分で喋っておいてコレだから君は……」
「ふわぁ〜……おっ?ねーねー天井のカドっこにあるあの染みの形って若干クマっぽくない?」
「もう話聞いてないし!」

 さっきまで会話していた筈の彼女は、現在大きな欠伸をしながら天井のシミの模様を一心不乱に見つめている。あまりにも不真面目なココに呆れたフーの目線が突き刺さるが、あの世界一我慢しない男――オーネストを以てして「本能で生きている」と言わしめた彼女は細かい事は気にしない。というか、下手をしたらゴースト・ファミリア内で一番神経が図太いので本気で気にしていない。

 生真面目なフーは、内心そんな彼女と反りが合わないと思っている。
 戦い以外では不真面目だし、人の忠告をあんまり聞いてくれないし、酒に強くもないくせに酒を飲んではオーネストの館で二日酔いに苦しんでいる。あんまりに自堕落だから面倒を見てあげることもあるが、どうにも彼女とは会話でも生活でも距離感が掴めない。
 だが、ココは何故かフーに懐いている。仲がいいというより懐いているという言葉がしっくり来るのは、彼女
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