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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
22.朝霧の君
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なくともオリオン・ファミリアの一部はココにそろそろ灸を据えるべきと考えていた。

「あの悪娘め……今日という今日はきっちりオリオン様に説教してもらうぞ!」
「今回は表口と裏口、更には窓まで全面閉鎖!ホームの敷地から出るための順路はない!」
「今回はレベル5代の連中も(半ば無理矢理)連れてきての作戦だ!さぁ、挫折を味わうがいい!!ムハハハハハハハハ!!」

 ……などと言いながら最も戦力的に手薄な正門で高笑いする男達。
 今まで裏口、窓、塀の上など様々な場所からココに突破されてきた彼等の執念も凄いが、その執念を以てしてもいつもココにはするりと包囲網を抜けられる。大体の場合、あっさり裏をかかれるのだ。

 正門を通らないのは当たり前、窓も塀も今まで散々使われたし、時には別のファミリアが外出する際にこっそり紛れ込んで目をくらまされたこともある。他にも団長に頼んで別の場所に行かせる、陽動をかけて誘導する、敢えて実力差で普通に正面突破するなど、彼らは完全にココに遊ばれていた。

「ふふふふ、この時間帯ならマナとの特訓を終えて朝食をとっている頃!彼奴が呑気に飯を食っている間に、俺達の包囲網は完成したのだ!」
「おう!団長たち先輩とオリオン様には『これ以降は二度と付き合わん』とつっけんどんにされた上に明日からトイレ掃除を命ぜられたがな!」
「されど、それもココめに辛酸を味あわせることが出来るのならば安い物!ムハハハハハハ!」
「ふーん、アンタたちも大変ねぇ。多分だけどもっと罰は追加されると思うよ」
「ハハハハ………は?」

 さらりと告げられた言葉にはたと停止した3人組は、ギギギと音を立てて敷地の外を見やる。

「おっはー♪」

 そこで呑気に手を振っていたのは――ピクニックバスケットを小脇に抱えたココ・バシレイオス。
 自分たちが多大な犠牲を払ってまで敷地内に留めようとした天才冒険者だった。

「な……ななななななな何故既に外にいるぅぅぅぅぅぅッ!?」
「お前はまだ食堂で飯を喰らっている筈ではなかったのか!?」
「や、昨日からアンタらがコソコソ動き回ってたから怪しいと思って先輩から計画全部聞きだしておいたよ?後はカンタン。食堂担当のママさんに頼んで明日の朝ごはんをお弁当にしてもらい、訓練終了後包囲網が完成するまえに普通に外に出させてもらいました!やだ、私ったらスゴくない?」

 真面目に自分の有能さに衝撃を受けたような表情をしているが、実際には3人組の計画が色々と杜撰すぎただけである。事実、ココがわざわざ3人の顔を見に来たのもからかいに来たからだったりする。この3人、根本的に頭の回転が鈍いのだ。

 ちなみにココは魔法を一つ習得しており、そして魔法習得の条件は知能と深い関わりがあると言われている。普段はちょっと
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