22.朝霧の君
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は手を抜いているのではなく、『マナに合わせるだけの技量がある』ということ。
(途方もないなぁ……お姉ちゃんは。剣術の方はあと10年あっても追いつける気がしないや)
やがて突きつけられた木刀が引き、不敵な笑みのココは改めて初期位置に戻る。まるで何事もなかったようなその背中がどうしようもなく遠く、そして大きかった。
「さ、次はどうする?ベストな一撃のリズムを体に覚えさせるために反復?それとも突きが躱されたりした時の対処法探り?もしくは………練習中の魔法、使っちゃう?」
それでも、マナには目指す物がある。
「……全部やるッ!!」
ココの剣術を母の魔法、その両方を極める『魔法剣士』。
そのスタイルを完成させるために、マナは詠唱を開始しながら木刀を構え直した。
= =
リージュ・ディアマンテが戦略の天才ならばココ・バシレイオスは戦術の天才だ、と誰かが言った。
リージュは将の器であり、大軍を動かして相手を戦略的敗北に追い込む。綿密な計画、徹底した指示、先見の明、予想外の事態に対処する決断力と判断能力……それらを持ったうえで集団戦闘に挑み、勝利する。『勇者』の二つ名を持つフィン・ディムナも優れたリーダーシップを持っているが、こと大局を見る目に関してはリージュの方が1枚上手だというのが一般的な見解である。
すなわち、戦略の天才とは巨大な流れに乗る為の舵取りだ。
対してココは単独行動が基本で、特定の獲物を仕留める方法を考えながら疾走する。時には得物を狩る為に協力者を仰ぎ、己を鍛え、経験則や事前情報から行動を読み、あらゆる可能性を視野に入れたうえで確実に勝てると確信した時に敵を仕留める。彼女と似たスタイルの冒険者に『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインがいるが、魔物を確実に狩るという点から見ればココの方がクレバーな戦いをする。
すなわち、戦術の天才は流れを作る「点」を潰すことに長けている。
そう、ココという少女は戦いに関してはまさしく天才なのだ。
天才なのだが……そんな彼女を好ましく思わない者もファミリア内にはいる。
それはやっかみや嫉妬でもあるし、もう一つの理由でもある。
そのもう一つとは、彼女がオーネストをライバルとしながらも非常に親密にしていること。すなわち、ゴースト・ファミリアの一員であることだ。一時期はオーネストを追いかけて人の忠告を無視したり音信不通になったりもしたし、レベル5となった最近も遠征以外の時間は彼の所へフラフラ行ってしまう。止めたら止めるなと言い、説教をすると途中で眠ってしまい聞いていない。
自分のファミリアの事をほったらかしてまで得体の知れない犯罪者紛いの男とつるむ少女――それを非行少女と呼ばずして何という。少
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