暮れ泥む街衢の陰で
21.死んデレらストーリー。
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リには出来ません」
リリの目線が同情からドン引きに変わる瞬間が垣間見えたのは俺の気のせいだろうか。
「ほれ、咆哮でビビってたら付け入る隙を与えるぞ!目を逸らさず、狙いを定めろ!そうだな……魔石狙いはハードルが高いし、まずは棍棒を持つ手を切り裂いてみろ!」
「は、はいぃッ!!」
ゴブリン相手に悪戦苦闘しながらもガウルの指示で戦うベルを見ながら、俺は何だかもどかしい感情に駆られていた。俺ならあの程度瞬殺だし、オーネストなら蹴っただけで即死に持って行ける。そんな簡単な戦いに、素人はあそこまで手間取るものだったのか。
戦闘狂ではない筈だが、あれだけ刺激的な戦いばかりしていると価値観が変化してくるのだな、と一人内心でごちる。知らず知らずのうち、俺も強者の驕りを抱えていたのかもしれない。戦いで得られる生への実感……もっと深く追求するのもまた一興。
「俺ももう少し自分を追い込んでみるか……オーネストと一緒だと苦戦とは無縁だからなぁ」
「ちょっ……止めてくださいよアズ様!もし怪我したらマリは絶対泣きますよ?死んだらそれこそ目も当てられない……出来る事を出来るだけやればいいんですっ!」
「え?ああ………ま、それもそうか。命を賭ける時なんて、馬鹿な友達を救う時くらいで十分だよな」
リリに言われてふとあのお金大好きマリネッタの笑顔を思い出す。小遣い目当てで愛想を振りまくマセた子供だが、結構優しいから俺みたいな屑が死んでも涙は流してくれるだろう。俺に明日は必要ないが、彼女には明日が必要だ。そして明日を迎えるために必要な金は俺が持って来る。
うーむ、世の中上手く回っているものだ。なんかリリが「本当はダンジョンになんか行かないで……」とか呟いている気がするが、よく聞こえないので気にしないことにした。
「……おお、ベル君が漸くゴブリンを倒したようだな。肩で息しているが大丈夫か?」
「初の魔物狩りなんてあんな物だと思いますよ?リリなんか未だに魔物との戦いは苦手ですし」
(………ところでガウルさん、リリとアズさんってどういう関係なんですか?)
(うん……実は俺も知らん)
(エエエエエエエッ!?同じファミリアなのに知らないってぇ!?)
リリが大暴走した頃はダンジョンに籠っていたため、未だにその辺の珍事を耳にしていないガウルであった。
= =
「そもそも――ゴースト・ファミリアってのは根本的にファミリアとして成立してない。あくまで周囲が勝手に付けた俗称が定着しただけ。基本的には俺達は別々に行動してるんだよ」
昼食時、メリージアの用意してくれた弁当を食べながらガウルはぼやいた。
ちなみにリリ以外全員が弁当を持っていたが、元々小食だったアズがリリと弁当を半分こすることで食い逸れ問題を解決
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