暮れ泥む街衢の陰で
21.死んデレらストーリー。
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ぇ。大抵は剣、杖、槍、ハンマー、後は体術とか魔術で戦うのが冒険者なのだが、俺のは鎖だ。そして普通、鎖を振り回して魔物と戦っても威力が足りなくて勝てない。俺の鎖がおかしいのだ。
「というかアズ様、その鎖どっから出してるんですか?」
「どっからでも出るよ?」
「えっと………その鎖、何なんですか?」
「まるで実体があるような鎖……って、オーネストが言ってた」
「やだ、質問したら疑問が増えていく……」
リリが顔を抑えて呻くなか、ガウルは壁からバキバキ音を立てて出てきた新たな的を確認し、今度はベルの背中を押す。相手はゴブリン、遅れは取るまい。
「うし、一丁戦ってみな。もしダメなら俺かアズが助けるから」
「は、はいッ!ううう、初魔物との戦闘かぁ、緊張するなぁ……」
初めて法廷に立った新人弁護士みたいな引き攣った顔で前に出るベル。しかし、言葉とは裏腹にその身体は既に魔物と戦うための構えを取っている。身体は若干震えているが、アズ以上の剣術の心得があるらしい。
「情ケ無用!戦闘開始ッ!!」
「やぁぁぁぁぁッ!」
ベルのナイフがヒュッと空気を切り裂き、魔物の肩を切り裂く。だが、傷が浅いためか相手は怯まず、ベルに棍棒を振るう。
「ブギャアアアッ!!」
「うわわわ!?……っとと!」
多少大げさに体をのけぞらせたせいでバランスを崩しながらもなんとか構え直すベルに、俺は感心する。
「お、反応速度はまぁまぁだな……」
「ああ、そのようだ。ベルは耐久でなく速度で戦うタイプが向いてるかな。体も小柄だし、無難な選択だ」
ゴブリンの攻撃だって喰らう奴は喰らう。そこから相手の動きやタイミングを覚える前に撲殺される冒険者も皆無ではない。そんな中でベルは初見の攻撃を危なげながら回避できた、ということは反射神経はそれなりに優れている。
避けられる冒険者と、防いで戦う冒険者。魔法を用いない接近戦冒険者は大別してこの二つに分けられる。理想としては回避しつつも避けきれない攻撃は防げるという万能型が望ましいが、生憎とそれが出来れば苦労はしない。よって最初の内は避けるか防ぐかのどちらかに特化させた方がいい。
なお、俺はその辺の過程をぶっとばしてオーネストと地獄の強行軍コースで鍛えられたので、今のは全部本に書いてあった知識である。
「ちなみにアズ様はどちらで?」
「うーん、どっちでもないかなぁ……何せ戦いの師匠がオーネストだし。俺、事実上教わったのは最低限の体捌きと『近付かれる前に殺せば何の問題もなかろう』の一言だもん。それが出来たら苦労せんわ……」
「凄まじいまでの無理難題ですね……リリには出来ません」
「ま、必死であいつの背中追いかけてたら出来るようになったけど」
「凄まじいまでの順応能力ですね……リ
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