暁 〜小説投稿サイト〜
俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
暮れ泥む街衢の陰で
21.死んデレらストーリー。
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何かなー?」
「なんで狼族の姿をしてる後ろ姿でリリだって判別できたんですか?」
「ああ、そんな事……そういうのは雰囲気で大体分かるかな。それにホラ、俺のあげたチェーン腕に付けてるし」
「………アズ様はいけない人です」
「え、何故に!?」

 アズはリリをあっさりすくい上げてくれる。例えそれが大勢の気まぐれで拾われた人々の一つだったとしても……アズだけはリリをリリだと気付いて声をかけてくれる。

 ただそれだけの事実が、リリの心臓の鼓動を高鳴らせた。



 = =



 人には得手不得手という物がある。
 それが証拠にオーネストは世渡りと人付き合いが壊滅的だし、告死天使と呼ばれる俺にもイロイロと苦手な事はある。主に、剣術とか。

「………ていっ」

 支給品の剣を使って、魔物を真っ向唐竹割にしてみる。グギャアッ!と悲鳴を上げた魔物は中途半端に頭が割れて苦しんでいる。余りに剣の振り方がへっぴり腰だったせいか上手く倒せなかったようだ。これ以上苦しませるのも酷かと思い、剣をしまって軽く手にスナップを効かせて振る。

「それっ、っと」

 袖から弾丸のような速度で射出された鎖が、魔物を粉々に打ち砕いた。
 横でその光景を見ていたベルは呆然とし、リリは固まり、そしてベル指南役を任命されたガウルは頭を抱えた。

「えー………以上が冒険者の間違った戦闘方法だ。決して真似しないように」
「逆に質問ですけど、ガウル様は真似できますか?」
「言い方を変えよう。出来ないことをしようとするな……人間には限界がある」
「え……っと、それだとアズさんが人間の限界を突破していることに……?」
「何だ、知らなかったのかベル?アズは神にすら人間だと思われていないんだぞ?」
(悲しいかな否定できない……)

 少なくとも親しい神以外からは割とそう考えられているきらいがある。親友ロキやヘスヘス辺りは普通に接してくれるけど、人伝に聞いた話だとフレイヤなんか俺の事を苦手に思ってるらしい。言われてみればあんまり話をしたことがないが……オーネストには「あのクソアマ避けになるなら大変喜ばしい」と満面の笑みで言われてしまった。
 ……ありゃ相当怒らせたんだな。フレイヤ当人は全く懲りてないって話だけど、あそこまで攻撃的な笑顔を見せるなんてよっぽど嫌われているとしか思えない。それが証拠にオッタルの耳をもぎもぎしちゃったらしいし。

「まぁ、何だ。戦い方講座として暇そうなアズを連れてきたが、こりゃ失敗だったかなぁ」
「そうですねぇ……アズ様の戦い方は高レベル冒険者の皆さまとは違った方向で異常みたいです」

 ヒマしてたのでついでに付き合ってもらってるリリの解説に、うんうん頷くガウル。確かに、俺以外でこんな戦闘スタイルの奴見たことね
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