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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
20.Soul Bet
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通常のポーカーでは最弱の手前、役とも呼べないような手札。しかし、ロー・ポーカーのルールではこのブタが非常に強い。確率的には二分の一程度で完成するこのブタこそが、この勝負で二人の追っていた物と言える。
 順番に並びすぎてもいけない。模様が揃ってもいけない。数字が揃ってもいけない。かといって、カードをチェンジしてしまえば揃ってしまうかもしれない。そのギリギリの瀬戸際で男が絞り出した、最後の一手。
 これに勝つにはガンダールも同じくブタで、かつ7以下の数字があるか、ギリギリで競り勝つための7,8,9の札が必要になる。揃えるのは無理ではないが、いつでも揃えることが出来るとも断言できない。強ければ強いほどにパターンが増えていくのもデュース・トゥ・セブンの面白さだ。

 そして、ガンダールはその面白さを存分に堪能したうえで、冷酷に言い放つ。

「実に下らない……100%の覚悟があるからこそ賭博場は輝くのに、随分と純度の低い覚悟がやってきたものです。オーネスト様のそれが美しい宝玉ならば、貴方は精々海辺の褪せた貝殻程度――興ざめですよ、お客様」

 ガンダールの手札は、ハートの2、クローバーの3、クローバーの4、クローバーの5、クローバーの7。

 一歩間違えればフラッシュやストレートに化けて敗北する非常にきわどい――そして、このルールにおける最強の札で男を打ち破った。





 その瞬間、ガンダールの心臓に強い衝撃が奔った。





「か、ふっ……ふふっ、そう来ましたか……ッ」
「俺は生憎とギャンブラーじゃなくて唯の強盗だよ。貧弱で穢らわしいデミヒューマンくん?」

 男の手刀が、ガンダールの胸を深く鋭く抉っていた。男が手を引き抜くと風穴からどろりと赤い液体が漏れ出し、ガンダールは張付けた笑顔のまま椅子ごと倒れ伏した。

 男はそれを一瞥すると、ガンダールの懐を探って金属製の円盤を取り出す。その円盤は円の内側に向けて夥しい数の鍵を収納するために作られた、『アプサラスの水場』のオーナー専用の鍵束。そのうちの一つ、『1684番』を強引に引き千切り、跳躍してその番号が付された引出しの錠を開ける。

 男はにやりと笑いながら、棚の中に仕舞われていた賞状保存用の小さなフォルダを手にし、中を覗く。期待に胸を膨らませる男だったが、内容を改めるや否やその喜色は失せていく。

「………なんだ、これは?」

 中の羊皮紙には、一言こう書かれていた。

 『背中は黙して語らず、ただ在るのみ』。

「――何って、お客様の求めていた物でしょう。それが貴方の求めた答えでございます」

 背筋に、ぞくりと悪寒が奔った。

「き、貴様………何故………」
「何故?何がですか?」

 そこには、先ほどと変わらぬ笑顔の
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