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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
20.Soul Bet
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を受け取ることが出来、逆に負ければ最大の宝を喪うことになる。そうした賭けを続けた結果が、男の目の前に広がる光景だった。

 その円形の部屋は、一見して中心にゲームテーブルとイスが二つの簡素な部屋だった。だが、その部屋には決定的に普通ではない所がある。

 それは、壁だ。
 何層にも別れた小さな廊下と梯子によって何段も分かれているが、壁にあるのは全てが壁紙などではなく引出しそのもの。笑顔を崩さないガンダールと目を見開く男の目線の先には、全てが引出しで埋め尽くされた壁が悠然と見下ろしていた。

「驚かれましたか?ふふっ、実を言うとわたくしもこの部屋に来ると言葉に出来ない重圧を感じます。ここで大切な物を賭けてきた真剣勝負の残滓とでも言うのか……」

 世界にこれほど巨大な棚があるだろうかと問いたくなる圧巻の規模が四方を埋め尽くす、異様な光景。錠で硬く閉ざされていた。引き出しの数はゆうに数千はあり、その7割近くに名札がぶら下げられている。

「お察しの事と思いますが、名札のない棚は空でございます。最初はこれほど大規模では無かったそうですが、先々代のオーナーが豪運の持ち主だったようで、その頃はこの棚の全てが埋まっていたそうです。ところが先代はギルドと一悶着あったせいでかなりの資金を必要としまして、ここにある品の半分ほどをオークションで流してしまったのです。勝負師としては余り褒められませんが、経営者としては英断だったと思いますよ。現にここは余所の違法賭博場と違って生き残ったのですからね……ふふっ」

 つまり、『アプサラスの水場』はそれだけ強かに時代を生き抜いてきた。
 そしてガンダールは、その現オーナーを務める男だ。
 そして、もう一つ――先代が半減させたこの引き出しを、ガンダールは7割程度まで埋めている。

「――さあ、契約書にサインを。わたくしが提示するのはオーネスト様の背中の情報……そして貴方が賭けるのは、命でございます」

 ガンダールはにこりと笑う。
 その笑みは、どこか悪魔的だった。



 = =




 ガンダールと男は、静かな戦場でトランプとチップ手に戦っていた。

 ルールは男の提案でデュース・トゥ・セブンになった。これはロー・ポーカーと呼ばれる変則的なドローポーカーであり、作る役の強弱関係が通常ルールと逆転していることが最大の特徴だ。最強にして奇跡の手札であるロイヤルストレートフラッシュはこのゲームにおいては最悪の手札に変貌し、最弱である筈のローカード――ブタこそが燦然と輝く栄光の道になる。

 ポーカーではA,K,Q、J,10……という順番に強く、2が最弱になる。そのためこのルールでは模様の合わない2,3,4,5,7のローカードこそが最強のカード。故に、ゲーム名も『| 2 - 
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