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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
20.Soul Bet
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プの模様を予想する瞬間に真剣な眼差しが交錯する。得るか失うか、その二つしか存在しない勝負場を、男はガンダールと共に通り過ぎる。

「ここ――『アプサラスの水場』は先ほども申した通り非合法の賭博場でございます。大昔は非常に高レートな賭けや、文字通り「命」を賭けた過激な物も多かったのですが、ギルドの長にロイマンが就いてからは締め付けが厳しくなりまして……わたくしがオーナーになった頃には激減しておりました。今はもうやってない、という訳でもございませんが……ね」

 非合法、という言葉は反社会的な性格を持つ者の心をくすぐるし、悪性に近い神は敢えてこちらの賭博場を贔屓にすることも多い。訳ありで表に顔を出せない者や出禁になった者が辿り着くのもここだ。だから『アプサラスの水場』の歴史は以外に深い。

「……ん?ロイマンですか?ええ、実は同じ学び舎の先輩でしてね……わたくしの方が少々年下ですが、付き合いが長いので呼び捨てし合う間柄です」

 男は一瞬首を傾げ、自分が疑問に思っているのはそこではないと告げた。
 すると、ガンダールは一瞬キョトンとし、遅れて苦笑した。

「あの人がそんなに有能なのかって?……ふふっ、東の方には『鼓腹撃壌(こふくげきじょう)』という言葉がありましてね。想像できないかもしれませんが、彼をエルフの恥などと呼んでいる者は自分がロイマンの腹の上で踊っている事に気付いていない場合が多いのですよ?」

 そこはかとなく彼のコネクションが裏社会にまで通じている事に男は意外そうな顔をしたが、あり得ないことではないと考え直してか直ぐに平常な顔に戻った。それを確認したガンダールは笑顔で話を続ける。

「さて、お客様は何を求め、何を賭けにいらしたのか………よろしければお聞かせ願えますか?」

 ガンダールの問いに、男は躊躇いもなく一言だけ言った。

「………ほぉ、オーネスト様の『背中』の情報でございますか?――ふむ、その言葉の意味も正しく理解しているようだ。結構、結構……では、チップもそれに相応しい物を用意しておりますね?」

 男は、自分の心臓を親指でとんとんと叩き、代償が何たるかを指し示した。

 この店には特殊な賭けが存在する。

 それは、オーナーとの賭けに勝てば『コレクション』を一つだけ得ることが出来る権利を得る、という物である。その『コレクション』は質代わりに非合法で持ち込まれたさる高名な剣士の愛剣であったり、国宝級の価値を持った盗難美術品であったり、そして情報であったりする。
 その全てがオラリオのあちこちから本気の勝負師が持ち込んできた超一級の品であり、余人には一生知りえない真実であり、それを渇望する者にとっては命を賭してでも得たい代物だ。

 オーナーに勝てば自分の宝と共に『コレクション』の一つ
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