19.向カウハ修羅ノ道
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挙動不審なティオナ。
取り敢えずオーネストの頭に浮かんだ仮説としては、オーネストが冒険者を引退することで狙いの男が手薄になるとか、別の友達の恋路を応援するうえでオーネストの存在が邪魔になっている、という動機が考えられる。
(しかし、俺の周囲にそんな奴いたか………?)
神ならぬオーネストには周囲の人間関係や恋愛の機微を把握しきることは出来ない。しかし、それを差し置いてもオーネストの周囲の人間関係にそのような甘酸っぱい連中はいなかった気がする。となるとオーネストが知りもしないが影響を与えている誰かだろうか。
「そうと決まったらホラ!その女の子にさっさと告白しに行きなさいよ!」
釈然としないオーネストの背中をティオナがパァン!と叩いた。普通の人間なら下手するとぎっくり腰になる威力だが、流石はオーネスト痛みをおくびにも出さない。
「だから、何故、俺が、そんなことをする必要がある?」
「ダンジョンの魔物のお尻を追いかけ回すよりずっと健全でしょ!」
「それはさっきの意趣返しか?」
「モチのロン!そして、そのまま健全な一生送りなさい!」
「……まさか、遠回しに結婚を機に冒険者を辞めろと言いたいのか?」
「分かってるじゃんオーネスト!で、で?相手は誰?式はいつ開くの?アマゾネスの里の近くに良い村があるからそこで愛を育んじゃいなさいよ!あの辺は一夫多妻も珍しくないからついでに何人か娶っちゃえば?よっ、色男!」
(理解しようと思っている訳じゃないが……今日のこいつは一等訳が分からん)
打算的な狙いがあるのなら、カンで全て察することがオーネストには出来る。しかし、どんなに見てもティオナはただ純粋に、そして極めて一方的に恋を応援するだけだった。結局、まるで人の話を聞かないティオナは勝手に盛り上がるだけ盛り上がり、長い付き合いの中でも初めて上機嫌のままオーネストと別れた。
この革命的な事件が「え、まさか本気恋愛に発展!?」という風にロキ・ファミリアを震撼させるまであと数刻。なお、勘違いの模様である。
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