19.向カウハ修羅ノ道
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に来る。しかも、「冒険者辞めたら?」と言うためだけの理由で。
これはツンデレ的なアレなのではと周囲は本気で疑ったが、ロキによる聞き込み結果は「ティオナは本当にオーネストが嫌い」だった。
『せやったら何がティオナをそこまで駆り立てんねん?』
『知らなーい。ぷいっ』
そして、オーネストの話が出ると本気で機嫌が悪いので碌に喋ってくれなくなる。
結局、今の今まで何故ティオナがオーネストをそこまで目の敵にしているのかは不明だ。オーネスト自身、嫌われる心当たりは星の数あってもここまで追い回される心当たりはない。
「ダンジョンの中くらい好き勝手にさせてもらいたいもんだな」
「ふんだ。ダンジョンは攻略する場所であってアンタの暴れる場所じゃないのよ?あんたが3年前に59階層までたどり着いたのだって、本来なら暴れ馬のアンタじゃなくてあたし達みたいな誉あるファミリアのやることなの!しかもアンタと来たら黒竜相手に3度も無策で喧嘩売っては死にかけて!勝つ気が無いんなら剣なんて捨てなさいよ!」
「剣がなければ拳でやればいいだろう」
「しまった、そういえばコイツ3回目の時は素手で黒竜の牙へし折ってた……」
額を抑えて溜息を洩らしたティオナは――不意に、鼻をすんすんと鳴らしてオーネストに近寄る。
「オーネスト、いつもと違う臭いがする」
「そんなもの嗅ぎ分けてどうする?イヌでもあるまいし」
「……オーネストの背中から女の臭いがする!それも結構濃い!」
「浮気調査する新妻かお前は……?」
「ねえねえ誰?ねー誰?誰の臭いかな〜〜?」
さっきまでの不機嫌から一転、今のティオナは興味津々に真実を追求しようとしている。敵意や殺意は軽く受け流せるが、こういう好奇の視線は馬鹿みたいで鬱陶しいので早歩きになる。しかし、ティオナも早歩きで付いてくる。仲良し子良しでもあるまいし、そんなにもからかいの種が欲しいのだろうか。
「背中から臭うってことは担いでたんでしょ?アンタ人を担ぐなんて善人みたいなこと普段はしないじゃない!大抵アズに押し付けてるし!そのオーネスト君が自分から女の子を背負うっていうのはどういう事情なのかな〜?」
「……偶には気まぐれな日もある」
「オーネストの気まぐれを誘発する時点でこれはもう天の導きだね。結婚しちゃいなよ!こういう時の出会いって大事だと思うよ!」
「はぁ?どのようなアレだそれは?」
オーネストはいよいよ状況が掴めなくなってきた。何故この女は人の背中から女の臭いがすることを理由に背負った女と結婚しろなどという飛躍した理論に達したのだろう。最初は単にからかっているのだろうと思っていたが、この女は何故か本気で応援しているつもりらしい。
人の事が嫌いなくせに人の恋路を勝手に応援している
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